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特別展 美を紡ぐ 日本美術の名品 [EXHIBITION]

先週の木曜日に観てきた展覧会・其の一。

東京国立博物館・本館で開催中の
『特別展 美を紡ぐ 日本美術の名品 −雪舟、永徳から光琳、北斎まで』。

特に「これが観たい!」という作品があるわけではないのだけど
なぜだかこの展覧会は「観ておいた方がいい」ような気がして
ずっと気になっていた。
けれども会期はたったの1ヶ月。
行ってる時間はなさそうだなぁ…と半ば諦めかけていた。

しかし、フと思った。
5月16日は、18時から東京都美術館で
『クリムト展』のプレミアムナイト鑑賞会がある…
あ、その前に観ておけばいいじゃん!。

というわけで、トーハク本館。
tohaku_1905.jpg
平成館でやっている『特別展 東寺』と併せて観ていく人も多いのだろう。
思っていたよりも混んでいるが、ストレスを感じるほどではない。

この展覧会は、
「日本美を守り伝える『紡ぐプロジェクト』−皇室の至宝・国宝プロジェクト−」
の一環として開催されているもので、
文化庁・東京国立博物館・宮内庁三の丸尚蔵館が所蔵する
選りすぐりの日本美術の名品を紹介する、というもの。

チケットを提示し、音声ガイドを聴きながら中に入っていくと
いきなりこの展覧会の《目玉》ともいえる圧倒的な作品が
ダダーン!と現れて、思わず「うぉぉぉ〜!」と声が出そうになる。

それは狩野永徳・狩野常信筆の『唐獅子図屏風』。
右隻は安土桃山時代に永徳が、
左隻は永徳の曾孫である常信が江戸時代に描いたもの。
とにかく驚いたのはその大きさ!。
永徳の描いた唐獅子図屏風は教科書にも登場するくらい有名な作品だが
まぁ普通の屏風絵の大きさなのだろうと思っていた。
ところが実際は縦222cm × 横452cmと、あり得ないくらいデカい(^o^;。
このアホみたいにデカい屏風に、2頭の唐獅子がダーン!ダーン!と
これまたでっかく描かれていて、その迫力たるや想像を遥かに超えるものだった。

右隻だけでも十分デカいのに、加えて同じサイズの屏風が左側にもう一枚。
なんか、もう…圧がスゴイ(◎_◎)。
もう少し離れて観てみたいのに、展示室の広さが足りない(^^;。

こういう経験をすると「実物を観ることの大切さ」を思い知る。

初っ端からガツンとやられてしまったが、この後も名品が目白押し。
『檜図屏風』(狩野永徳筆)、
『寛平御時后宮歌合(十巻本)』(伝宗尊親王筆)、
『秋冬山水図』(雪舟)、『納涼図屏風』(久隅守景)、
『元暦校本万葉集 巻一(古河本)』…と国宝も結構展示されている。


個人的に特に印象に残ったのはこのあたり。

●藤原定家筆『更科日記』
 …味のある定家の字体がとてもアートっぽい。

●尾形乾山『八橋図』
 …素朴なタッチの燕子花のまわりに
  バランス良く文字が散らされていてセンスが良い。
  兄・光琳のリアルでデザイン性の富んだ燕子花もいいけど
  ササッと描いたような乾山の燕子花も好き。

●葛飾北斎『西瓜図』
 …スイカの上に和紙と包丁が載せられて、
  その上には薄く桂剥きにされたスイカの皮が垂れ下がる
  なにかの絵解きのような不思議な作品。
  乞巧奠(きこうでん)という七夕祭の原型の見立絵なのだとか。
  北斎が画狂老人卍を名乗っていた晩年の作品。

●長沢芦雪『花鳥遊魚図巻』
 …描かれている動物たちがいきいきしていて可愛らしい。
  (特にワンコの群れが…^o^;)。
  巻物の一部分しか観られないのが残念でならない。
  全部観たーーーい!(笑)。

●円山応挙『牡丹孔雀図』
 …まさに「写実の応挙」な孔雀図。
  孔雀の羽根1枚1枚を観ているだけでクラクラしてくる(◎0◎;;)。


展示されている作品も素晴らしいのだけど
第二会場のパネル展示もかなり興味深い。
文化財の修復がどのように行われているのかとか
修復に使用される様々な種類の和紙や
木材のサンプルが紹介されていて
今こうして鑑賞している貴重な文化財の数々は、
その時代時代で大切に行われてきた保存と修復の賜物であることを実感。

今後は「展示室が暗すぎて何が描いてあるのかわからん!」などと
いちいち文句を言うのはやめよう(なるべく…^^;)と、思った。

観ておいてヨカッタ〜と心から思える展覧会であった。
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