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二度目の暁斎、二度目の北斎 [EXHIBITION]

サントリー美術館の『河鍋暁斎 その手に描けぬものなし』と
森アーツセンターギャラリーの『新・北斎展 HOKUSAI UPDATED』。
二つの展覧会の後期展示をハシゴする。

まず先に訪れたのはサントリー美術館の河鍋暁斎。
これまでも1週間おきに小規模な展示替えはあったのだけど
3月5日を境にかなりの作品が入れ替わった。

前回(2/14)観たもの=通期展示はすっ飛ばして
後期展示のものをメインに鑑賞すれば、
それほど時間はかからないだろうとタカをくくっていたのだけど
とんでもなかった(◎_◎)。

思っていた以上に初見の作品が山盛り(^^;。
巻物や画帖などは殆どが場面替えになってるし
入れ替わりで登場した作品、これがまたどれもイイ!。

第1章から第3章の前半では
『文読む美人図』
『幟鍾馗図』
『龍眠図』
『雨中白鷺図』
『風神雷神図』
『蝦蟇仙人・鉄拐仙人図』
『菊花白猫図』
『鳥獣戯画 猫又と狸』
『美人観蛙戯図』
『四季耕作図屏風』
…このあたりがとってもステキ。

中でも『龍眠図』。
だいたい龍図というと、雲の中から現れる雲龍図が多いけれど
これは水面に顔を出して横たわる龍の絵。
『龍眠図』となっているけれども、龍の眼は見開かれている。
(龍は眠るときも眼を開けているものなのだろうか?。蛇にまぶたがないように?)

あとは『美人観蛙戯図』。
鳥獣戯画の蛙のように擬人化された蛙が相撲を取ったり
子供をおんぶしていたり、体育座りをしていたりするのを
綺麗なおねえさんが眺めている、という絵。
擬人化された蛙と人間が同じ画面に描かれているというのが
なんだかとっても斬新。

そして「へぇ」と思ったのが『風神雷神図』。
多くの風神雷神図は風神が右、雷神が左に配置されているのだけど
暁斎の『風神雷神図』は風神は左、雷神は右。
この配置は狩野派の伝統に倣っているのだそうで、
「えっ?そうなの?」と、半信半疑で
狩野派絵師の風神雷神図をいくつか見てみると、た…確かに!。
今まで風神と雷神の配置なんて考えたてみたこともなかった(^o^;。


後半の第4章から第7章で「これは!」と思ったのは
『月次風俗図』
『群猫釣鯰図』
『地獄極楽図』
『閻魔・奪衣婆図』
『惺々暁斎画帖(二)』
『野見宿禰図』
『野見宿禰埴輪をつくる 下絵』
『浦島太郎に鶴と亀』
『道釈人物鳥獣画帖』
『百福図』(河鍋暁翠)

『惺々暁斎画帖』は前期にも違う場面が展示されていたけれど
今回展示されている部分に描かれた女性の腕に施された
彫り物の龍など、もう細密の極み!。
単眼鏡を覗き込んで「おおおっっっ!」と驚愕。

『地獄極楽図』は、その巨大さに圧倒されるが、
その『地獄極楽図』では恐ろしげに描かれていた閻魔や奪衣婆が
『閻魔・奪衣婆図』では美女に骨抜きにされているという面白さ。

『浦島太郎に鶴と亀』は三幅の掛け軸なのだけど
中央の鶴の構図が斬新でカッコイイ。
展覧会の最後を飾る『野見宿禰図』は、その状態の良さ(鮮やかさ)に驚いた。


というわけで、二度目の暁斎終了。
お次は六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーに移動して
二度目の北斎なのだけど、その前に…

サントリー美術館の不室屋カフェでひと休み。

これが食べたかったんだ〜(*^^*)。《季節の麩あんみつ いちご》。
ichigoanmitsu.jpg
「お待たせいたしました〜」と目の前に置かれた瞬間に
苺の甘い香りがふわぁ〜…( ̄▽ ̄)。

いちごは「さがほのか」。
あんみつの蜜にも同じいちごを使用。
あんも白あんで、見た目にも春らしい。
そんな見た目に反して甘さは控えめ。
一緒に頼んだお煎茶もまろやかで美味だった。



そしていざ、六本木ヒルズへ。
しかし外は物凄い強風。可能な限り花粉を浴びないように
できるだけ地下道を通ってヒルズまで移動。

人気の『新・北斎展』。
昼前後はめちゃめちゃ混んでいるだろうと見込んで
夕方の時間帯を狙ってみたが、やっぱり混んでる(-_-;。
考えることはみな同じ…ってことか。

けれども例によって〈物凄く〉混んでいるのは最初の方だけだったし
アタシが観たいと思っていた肉筆画(=比較的大きい)は
それほどストレスを感じることなくじっくり鑑賞することができた。

で、後期展示でお目見えした肉筆画の数々…
これがもう!ステキ!カッコイイ!そんな作品ばかり。
前期展示よりも「これすっごく好き!」な作品が多かったかも。

以下、覚え書き的に「お気に入り」を厳選して羅列(^^;ゞ。
『玉巵弾琴図』
『娘図』
『大原女図』
『来燕帰雁図』
『柳下傘持美人図』
『五美人図』
『鯉亀図』
 ↑これ、特にカッコイイ!
『芋の図』
『花魁図(画稿)』
 ↑白い紙に墨で輪郭線を描いただけの画稿なのだけど
  もう既にこれだけで物凄い完成度
『六歌仙図』
『狐狸図』

そして…今日はこれを観るためにここへ来たと言っても過言ではない
『富士越龍図』。

一昨年、すみだ北斎美術館で高精細レプリカを観たけれど
今回は正真正銘のホンモノ!。
齢90の北斎が亡くなる3ヶ月前に描いたという龍図。
富士山を越えて天高く舞い上がっていく龍に
北斎は自分の姿を重ね合わせたのかも知れないと思ったら
なんだかそれだけでグッときた。


展示を観終わって待ち受けているのは《魔の特設ショップ》(^o^;。
前回観たときに「次に来た時に買っちゃうかも〜」などと言っていた
3Dブロックメモ…一旦は手に取ったが…
はっせんななひゃくよんじゅうはちえんはやっぱり高い!イカン!
ということで、今日もまたそっと陳列棚に戻したのであった(笑)。


ということで本日の収穫。
18_secondsouvenir.jpg
暁斎の『閻魔・奪衣婆図』のポストカードと
北斎の『富士越龍図』のポストカード(前回も買ったけど、好き過ぎてまた買った)。
そして富嶽三十六景のマステ。

…また買ってしまったマステ。
富嶽三十六景のマステ…まさか三十六図全部がマステになってる…
なんてこたぁないよね?と思っていたら、この通り。
19_maste.jpg
全部で7パターン。
なんだ〜せめて十二図くらいは欲しかったなー。
「山下白雨」とか「甲州石班澤」とか「駿州江㞍」とか「東都浅艸本願寺」とかさ〜。
でもそんなにいろいろ網羅したら400円台じゃおさまらないか(^o^;。


暁斎・北斎…どちらも二度観てもまったく損はない
(ホントは三度・四度観てもいいくらい)
素晴らしい展覧会だった。
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