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新・北斎展 HOKUSAI UPDATED [EXHIBITION]

タイトルの通り、自分の中の北斎に対するイメージがアップデートされる展覧会。

場所は森アーツセンターギャラリー。
会期は1月17日から3月24日と日本画の展覧会にしては長めだが
その間何度か展示替えがあるため、
最低でも二度は訪れないと見逃す作品も多くなる。
というわけで、去年の10月末に早割ペア券を購入しておいた。

ちょっと久しぶりの六本木ヒルズ。
01_entrance.jpg
森美術館には去年『レアンドロ・エルリッヒ展』で来ているけれど
森アーツセンターギャラリーは2017年5月の
『大エルミタージュ美術館展』以来。


前売券を入場券と引き換えて、エレベーターで森タワーの52階へ。
入場までほとんど待つことなく、すぐに中に入れたけれど
さすがにそこそこ混んでいる。

葛飾北斎は、その絵師人生の間に何度も何度も画号を変えたことで知られている。
この展覧会では、主に使われた画号ごとに6つのセクションにまとめられている。

・春朗期(20〜35歳頃)
・宗理期(36〜46歳頃)
・葛飾北斎期(46〜50歳頃)
・戴斗期(51〜60歳頃)
・為一期(61〜74歳頃)
・画狂老人卍期(75〜90歳頃)

時系列になっているので、
北斎の作風がどのように変化していったのかが分かり易い。

ただ、展示作品数がハンパなく多い。
ひとつひとつをじっくり観すぎると時間もなくなるし
かーなーりくたびれるので、ところどころ遠巻きに観ながらスルーしつつ
じっくり観るべきところは立ち止まってじっくり観る。

冒頭で「北斎のイメージがアップデートされる」と書いたけど
個人的に特にそれを感じさせられたのが肉筆画の数々。

宗理期では『夜鷹図』『梅樹図』『分福茶釜図』『風俗三美人図』
『旭日山水図』『絵本隅田川両岸一覧』

北斎期では『硯箱に福寿草』『見立三番叟』『円窓の美人図』
『酔余美人図』『竹に昼顔図』『海老図』『大黒に二股大根図』『蛸図』

戴斗期では『茶筅売り図』『生首図』『鶏図』

画狂老人卍期では『肉筆画帖』『向日葵図』『雨中の虎図』
『雲龍図』『弘法大師修法図』…

このあたりは、ホントに綺麗だしとにかく巧い!(当たり前なんだけど^^;)。
改めて、北斎の観察眼やデッサン力やセンスの良さに驚かされた。

そして「うわ、凄いな…(・_・)」と感じたそれらの作品の多くは
初めて観るものばかりだった。
…北斎って、こんなにたくさん肉筆画も描いていたのかと(^^;ゞ。
いくら90歳まで生きたからって、残した作品の数が尋常でない。
実は北斎って一人じゃなくて何人もいたんじゃないの?
なんて思いたくなってしまうくらい。


ちなみに、この展覧会で展示されている北斎作品の殆どが
島根県立美術館所蔵のもの。
北斎研究の第一人者である永田生慈さんが
自身のコレクションを故郷の島根県に寄贈したものなのだそうだ。
そして昨年亡くなった永田さんの遺志により
このコレクションは今後島根県を出ることはないとのこと。
つまり東京で観られるのはこの展覧会が最後。

ならば島根県に観に行けば良いのだけれど
これだけ膨大な数をいっぺんに観られる機会は
さすがにそうそうないだろうから
なんだかもう、とても有り難い気持ちで作品を観て回った。

そうそう、肉筆画といえば春朗期に描かれた『鎌倉勝景図巻』。
横浜市磯子区の杉田とか金沢区の六浦とか、
今でもそのまま地名が残っている、身近な土地が描かれているのが興味を引いた。


展示作品はすべて撮影不可。
作品保護のため、展示室の照明もかなり暗めだ。

唯一撮影OKなのがこのフォトスポット。
『しん板くミあけとうろふゆやしんミセのづ』を複製・拡大して組み立てたもの。
02_kumiage.jpg
「組上燈籠絵」とは、錦絵に描かれた部品(建物や人物や小物)を切り取り
組み立てて楽しむジオラマ的なもの。
子供向けかと思いきや、この北斎のものなんかは
子供にとってはなかなか作るのが難しかったようだ。
昔もこういうのが好きな人、いたんだねぇ(^_^)。


さっきも書いたように、まぁとにかく展示されている作品数が多くて
全部観終わるまで1時間半くらいを予定していたのだけど
気付いたらたっぷり2時間を要してしまっていた(x。x)。
2月21日からまたガラッと展示内容が変わるし
なにしろ最晩年の傑作『富士越龍図』の展示が始まるので
絶対にもう一度行かねば!である(チケットも買ってあるし)。


最後は恒例の特設ショップでのお買い物。
ポストカード数枚と…
04_souvenir.jpg

bande(バンデ)のマスキングロールステッカー。
05_souvenir.jpg

実は他に「あ、これいいなぁ〜欲しいなぁ〜」と手に取ったものがあった。
1枚1枚めくっていくと最後には3Dの神奈川沖浪裏が出来上がるという
とても手の込んだブロックメモなのだけど
値段を見たら、は、は…はっせんなんぼ!( ̄口 ̄;)。
こりゃアカン!とそ〜っと陳列棚に戻したのであった(^o^;。

ちょっと調べてみたら、トライアードという会社が作っている
「OMOSHIROI BLOCK」というシリーズで
他にも清水寺だったり雷門だったり東京タワーだったり
いろいろな製品があるようだ。

その場では「高っ!(◎0◎;)」と思ったけど、
その精巧さを見たら「はっせんえん」は妥当かも。
二度目を観に行った時に、
もしまだ売ってたら買っちゃうかもな〜(ヤバイ…^^;)。


というわけで、ショップを出た直後の景色。
03_roppongi.jpg
今日も、いい天気。
コメント(19) 

コメント 19

おかん

北斎って何人もいたんじゃないの?と思ってしまうくらい凄いんですね!?
私も行かねば!
ショップ色々あるから買っちゃいそうですね。
by おかん (2019-01-31 05:42) 

YAYOI

昨日たまたま雑誌『サライ』でこの展示会の事を知りました。
梅屋さんが好きそうなのにまだレポート上がってないな~と思ってました。
二度と県外に出ない?
それは知らなかったです。
見に行けるかなぁ。
by YAYOI (2019-01-31 12:44) 

梅屋千年堂

>おかんさん
特に肉筆画が凄いです!。
初めて観る作品も多かったので「図録欲しいカモ…」と思いましたが
物凄く分厚くて重いのでやめました(^^;。




>YAYOIさん
ちょいちょい展示替えがあるので
観たい作品を効率よく観られるように
行くタイミングを見計らっておりました(^^;ゞ。
二度目は2月下旬か3月上旬に行く予定です。

>>見に行けるかなぁ。
夜20時までやってますので、是非(*^^*)。

by 梅屋千年堂 (2019-01-31 20:07) 

こたろう

こちらの北斎展、私はひじょーに迷っていました。でも、梅屋さんのレポを読ませていただき、2月下旬に行こうと決めました!(虎屋カフェとテクニカル北斎展も!)
でも、田舎もんの私、はじめての六本木ヒルズですー。今からドキドキ。
by こたろう (2019-02-03 17:38) 

梅屋千年堂

>こたろうさん
『新・北斎展』、絶対に観て損はないと思います。
あ、そうそう『テクニカル北斎展』の会期は
2月16日までですのでお気をつけくださいね。
それと、虎屋でお食事なさるのであれば
赤坂見附の《虎屋菓寮》って手もありますよ(*^^*)。

by 梅屋千年堂 (2019-02-03 23:20) 

こたろう

え?16日までなんですか⁈
23日を予定していたので、残念無念
教えてくたさり、ありがとうございました!
by こたろう (2019-02-06 23:46) 

梅屋千年堂

>こたろうさん
テクニカル北斎展は終了していますが
同じ六本木エリアのサントリー美術館で河鍋暁斎の展覧会もありますよ。
ついでのランチ情報ですが、森アーツセンターギャラリーと同じフロアにある
THE SUN茶寮というカフェでは、赤富士カレーとか浪裏デザートプレートなど
なにやら面白いコラボメニューを出しているようです。
ついでに赤坂の虎屋菓寮ではお赤飯がオススメらしいです(うちの上司談)。

by 梅屋千年堂 (2019-02-07 01:06) 

YAYOI

昨日、北斎さん見に行ってきました。
あんなに沢山描かれてたとは知りませんでした。
更に凄いのは、あそこに展示されていた北斎画のほとんどが、たった一人の収集品だということです。

音声ガイドで、時々プッと吹いちゃうような解説もですが、怪談も面白かったですね。
以前は音声ガイドなんてと思ってましたが、作品や作者の歴史や背景などがわかるので借りるようになりましたが、できればもう少し安くならないかと思います。
by YAYOI (2019-02-10 14:39) 

梅屋千年堂

>YAYOIさん
ホントに肉筆画の数が想像以上に多くて、
北斎、どんだけ筆が速いんだ!!!(◎_◎)と仰天しました。

音声ガイドは作品の横に貼ってあるキャプションには
書かれていないことが説明されていたり、
展覧会に関連した音楽も聴けたり、かなり楽しめますね。
個人的には周りの騒音を遮断してくれるアイテムとしても役立ってます(^^;ゞ。

以前はどこも500円が相場でしたが、増税にともなって値上がりしましたよね(-_-;。
音声ガイドに対する梅屋的要望は
・スマホにダウンロードする音声ガイド(=自宅で聞き直せる)の普及
 (需要が少なかったのか、サントリー美術館も廃止になっちゃいました)
・あの名刺大の領収書いらん
 (↑以前「いらない」と断ったら機器に不具合があった際の交換の時に必要だからと
   無理矢理渡されました…まぁごもっともなんですが)
です(^^;。

by 梅屋千年堂 (2019-02-10 21:46) 

YAYOI

>音声ガイドは作品の横に貼ってあるキャプションには
>書かれていないことが説明されていたり、
>展覧会に関連した音楽も聴けたり、かなり楽しめますね。

そうなんですよね。この前の東山魁夷展の時も『道』のモチーフとか『山雲』へ込められた思いとか、音声ガイドがなかったら、知らないまま見て終わりだったと思います。
パンフレットか画集とかは重いし物が増えるしでなるべく買わないようにしてますから、音声ガイドは助かります(^o^;)

>個人的には周りの騒音を遮断してくれるアイテムとしても役立ってます(^^;ゞ。

そういう使い道もありましたか!
by YAYOI (2019-02-11 21:54) 

梅屋千年堂

>YAYOIさん
あとは大混雑で作品に近づけない=キャプションがまったく読めない時も
音声ガイドは助かります。

>>そういう使い道
もちろん完全に外部の音を遮断することはできませんが
したり顔&大声で同伴者に作品解説をしているおっさんや
ぺちゃくちゃ喋りながら見ているおばちゃん達の声をある程度消してくれます。

あとそうそう!もうひとつ音声ガイドにカンする要望は
あのどうにもフィットしないヘッドフォン!。
耳にも頭にも合わなくてなんかモゾモゾ。なんとかして欲しいです(^^;。

by 梅屋千年堂 (2019-02-11 23:18) 

こたろう

今ごろ、ごめんなさい。
ランチ情報ありがとうございました!
サイトを見たら、デザートも美味しそう(^O^)

あと、音声ガイド情報もありがとうございます。私も音声ガイド借りる派なのでちょっと楽しみです。
再来週、国立西洋美術館と共に行く予定でーす。
by こたろう (2019-02-12 23:41) 

梅屋千年堂

>こたろうさん
こちらこそ、なんだか情報の押し売りみたいな感じでスミマセン(^^;ゞ。

西洋美術館はコルビュジエですね。アタシも既に前売券購入済みです。
カフェ「すいれん」はいつものコルビュジエ・ランチプレート以外にも
スペシャルメニューを出してくれるのかどうか…そこも楽しみです。

>>音声ガイド
もはや「もれなく借りる派」のアタシ。
最近はどの展覧会も趣向を凝らしていて面白いです。
そしてもうひとつ、音声ガイドへの要望を思いついてしまいました。
ガイド機の小型軽量化!。
2時間近くぶらさげてるとヒジョーーーに首が凝ります〜(笑)。
by 梅屋千年堂 (2019-02-13 21:56) 

こたろう

美術館等行くたびに
絵を観る→力が入る→肩がこる→疲れる
を繰り返すので、軽量化、激しく希望します!

ル・コルビュジエ。
音声ガイドはロマンティックロシアと同じ方でした。今度はどんな感じになるのかな
by こたろう (2019-02-13 23:15) 

梅屋千年堂

>こたろうさん
ラジオ!!!聴いてましたよっ!。
果物話、ものすごーく膨らんで盛り上がってましたね(*^^*)。
お陰様で、大いに笑わせていただきました。

>>音声ガイドの小型軽量化
以前、iPod nanoを音声ガイドとして使用している展覧会がありましたが
いくら小型でもあれはダメダメでした(^^;。

by 梅屋千年堂 (2019-02-14 00:01) 

こたろう

ありがとうございます!
なんか話が膨らみすぎてついてけませんでした(笑)
まーさまに読まれると幸せ倍増です(≧∀≦)
by こたろう (2019-02-14 00:15) 

梅屋千年堂

>こたろうさん
「エイドリアーン!」…爆笑しました。
今日の放送は3人とも特におかし…いえ、面白かったですね。

今夜はいい夢見ながらおやすみになってくださーい。

by 梅屋千年堂 (2019-02-14 00:20) 

おかん

28日、雨の日に長女(28才)と行ってきました。混雑・・凄かった、最初は全く進まかったです・・。でも美術芸術に疎い私達でもけっこう引き込まれていきますね。最後のひまわりは達観ですね、感動しちゃいました。
作品数も多さもさることながらあの時代に90才まで生きたというのが最も素晴らしいことかもしれない!と単純に納得しました。


by おかん (2019-03-02 05:01) 

梅屋千年堂

>おかんさん
へ…平日でもそんなに混んでいましたか!( ̄口 ̄;)。
近々二度目を観に行こうと思っているのですが
公式ツイッターの混雑状況を見る限り
夕方〜夜を狙った方が良いかも知れませんね。

北斎の長寿の秘訣は、元々の体質もあるのでしょうが
やはり画業に対する執念でしょうか。
画狂老人卍、オソルベシ!。

by 梅屋千年堂 (2019-03-03 22:05) 

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