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扇の国、日本 [EXHIBITION]

太田記念美術館の展示を観終えて
明治神宮前から千代田線に乗り、乃木坂へ。

乗換案内アプリで調べたところ、
乃木坂駅の2番出口が東京ミッドタウンに最寄りらしい…

なのに出てくる改札を間違えた_| ̄|◯。
国立新美術館最寄りの6番出口方面に出てきてしまった。
まぁ国立新美術館とサントリー美術館は目と鼻の先だし
むしろここから出れば迷子になる心配は100%ない。

そう思ってエスカレーターを上がっていくと…
わっ!乃木坂駅と国立新美術館って直結してたんだ!(◎_◎)。
…知らなかった(=田舎者^^;)。


サントリー美術館もちょっと久しぶりだ。
昨年2月の『寛永の雅』以来だ。
2018年のサントリー美術館のラインナップが自分好みではなかったので
メンバーズ・クラブの更新もしなかったのだけど
今年は面白そうな展示が多いので、再びメンバーズ・クラブに入会したのだった。

サントリー美術館に到着したら
メンバーズ・クラブの会員証の引換を済ませて、
加賀麩・不室屋プロデュースの併設カフェでひと休み。
展覧会限定メニューの《梅扇ふやき最中とお抹茶》をいただく。
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《梅》の最中はつぶあん。
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《扇》の最中は柚子あん。
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最中の皮は、不室屋さんのお吸い物『宝の麩』に使われている「ふやき」。
サクサクとした食感のふやきに、上品な甘さのあんの組み合わせが美味。
更に抹茶の苦みが、ちょっと疲れた頭をシャキっと目覚めさせてくれる。

ちなみにお茶碗はこんな感じの黒楽茶碗。
04_chawan.jpg



で、やっと本題。

『扇の国、日本』というタイトルの通り「扇」にスポットを当てた展覧会である。
風を起こして涼を取る道具としてだけでなく、
祭礼の用具や美術品・工芸品として生み出された様々な扇が紹介されている。

まず一番に驚かされたのが、いわゆる「折りたためる扇」が
日本で生まれ日本で発展したものだということ。
てっきり大陸から伝わってきたものだとばかり思っていた。

折りたたんで持ち歩ける「扇」。
これを発明した人ってスゴイと思う。
それが日本で生まれただなんてなんだかちょっと誇らしい。

序章として1878年パリで開催された万国博覧会に出品された
3本の扇の展示から始まり、第1章《扇の呪力》へと続いていく。

ここでは神事や祭礼に使われた檜扇や、
扇面いっぱいにお経が書かれたものが展示されていたのだけど
個人的に一番印象的だったのは、儀式の進行がギッシリと書き込まれた
カンニングペーパーのような役割を果たした『後月輪殿扇式次第』。


第2章《流れゆく扇》。
中世から近世初頭にかけて「扇流し」という遊びが流行。
扇を川に投げて、流れていく様子を楽しむという
なんだかちょっと勿体ないような気がする遊び。

それにともなって、屏風や襖に扇を散らして配置する「扇流し図」も
様々なバリエーションが作られたとのこと。
ここでは絵巻物の『源氏物語絵巻 湖水五十四帖』(石山寺所蔵)が印象的だった。

そして、人々の間に流通し、コミュニケーションのツールとしても
利用された扇を紹介した第3章《扇の流通》を経て、
第4章《扇と文芸》へ。
時と場所を選ばずに、手の中で楽しめる絵画作品としての扇、
更に複数の扇面を屏風や画帖に貼り集めて
物語の全貌を表したものが展示されている。
印象的だったのは『平家物語画帖 下帖』(根津美術館所蔵)と
シンプルな白描が美しい『花鳥風月物語絵巻断簡』(個人蔵)


第5章《花ひらく扇》は、個人的に最もワクワクしながら観たセクション。
歌川国貞、本阿弥光悦、池大雅、与謝蕪村、葛飾北斎、河鍋暁斎など
名だたる絵師によって描かれた扇や、扇をモチーフにした工芸品が並ぶ。
「あ〜ステキだな〜」と思ったのはやっぱり琳派。
宗達派 画『扇面貼交屏風』(個人蔵)
作者不詳『葛下絵扇面散屏風』(泉屋博古館所蔵)
宗達派 画『蓮華草図』(個人蔵)
尾形光琳 画『寿老図』(個人蔵)
酒井抱一 画『月図』(太田記念美術館所蔵)
酒井抱一 画『源氏物語図』(太田美術館所蔵)
などなど…。

それ以外でハッと目に留まったのは徳山玉瀾『松図』(個人蔵)。
この人は池大雅の奥さんで、池大雅が亡くなった後
扇に絵を描いて生計を立てていたのだとか。


終章は《ひろがる扇》。
開くと末広がりになる扇は、縁起の良いモチーフとして
工芸品や着物のデザインにも用いられた。
ここでも「いいなぁ〜(*^^*)」と思ったのは
尾形乾山『銹絵染付絵替扇形向付』(MIHO MUSEUM所蔵)。

着物のコーナーには、扇子があしらわれた赤っぽい振り袖があって
昭和兄弟の右側の人のことを思い出して
心の中で思わず「ぷっ( ̄m ̄)」。


扇だけでこんなにバラエティーに富んだ展示が出来ることに
ちょっとした驚きを感じた、華やかな展覧会だった。
ショップには例によって素敵な関連グッズがいっぱいあったけど
財布の紐をギュッと締め、何も買わずに帰ってきた(アタシ、エライ!笑)。
コメント(6) 

コメント 6

おかん

梅扇ふやき最中、お正月らしさを感じますね、素敵。
扇という古典的な鑑賞でも昭和兄弟に繋がってしまう・・・。春から縁起がよろしいようですね!(^^)!
by おかん (2019-01-21 13:51) 

梅屋千年堂

>おかんさん
今年はまたサントリー美術館のメンバーズクラブに入会したので
この不室屋カフェのネタが増えそうです(^^;ゞ。
そして3月の季節限定メニュー「季節の麩あんみつ いちご」が
今から楽しみで仕方がないアタシです。

by 梅屋千年堂 (2019-01-21 21:45) 

おかん

いちごも楽しみですね!栃木は「いちご王国」を名乗っていますが・・全国的には「あまおう」でしょうか?
by おかん (2019-01-24 13:02) 

梅屋千年堂

>おかんさん
「あまおう」ももちろん美味しいけれど、
家で食べるのには圧倒的に「とちおとめ」が多いような気がします。
…なんて考えてたら、無性に苺が食べたくなってきました…。

by 梅屋千年堂 (2019-01-24 18:50) 

YAYOI

イチゴに釣られて出てきました(笑)
栃木は最近はとちおとめが主流ですが、甘さ抜群のスカイベリーも増えています。
昔主流だった女峰はもうほとんどないそうです。
埼玉の加須市のイチゴ狩りハウスはロイヤルクイーン、べにほっぺ、あきひめ、やよいひめ、あまりんを栽培しているそうです。
あ~またイチゴ狩りに行こうかな。
by YAYOI (2019-01-24 21:26) 

梅屋千年堂

>YAYOIさん
YAYOIさんはイチゴにお詳しいのですね(*^^*)。
イチゴ狩り、もう何十年もやってないです〜。
初めてイチゴ狩りをしたときの「ぬるいイチゴ」は衝撃的でしたが(^^;ゞ
その美味しさ(甘さ)も感動的でした。

by 梅屋千年堂 (2019-01-25 21:15) 

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