SSブログ

ミケランジェロと理想の身体 [EXHIBITION]

会期が長いからまだまだ平気〜
なんて油断してたら残り1ヶ月を切っていた。

国立西洋美術館で開催中の『ミケランジェロと理想の身体』。
昨日(29日)行ってきた。
01_kanban.jpg

到着が昼過ぎだったので、まずは《カフェすいれん》で腹拵え。
(なんだか最近このパターンばっかり^o^;)。

時間帯もあって、順番待ちの列はかなり長い。
こりゃ1時間待ちか?と覚悟を決めて並び始めたものの、
回転はいいようで、スイスイと進んで行く。

注文するメニューは既に決まっている。
「ミケランジェロと理想の身体 特別展メニュー《フィレンツェで昼食を》」
である。

のだが、あと数人で中に入れそう…というところで
スタッフの方が出てきて
「本日の《フィレンツェ〜》は売り切れましたー申し訳ありません!」

…_| ̄|◯

そこから数分後、席に案内されたが
悔しいのでメニューの写真だけ撮っておいた(笑)。
02_menu.jpg

で、お目当てだったものの代わりに何を注文したのかと言うと
《ル・コルビュジェ ランチプレートセット》。
03_corbusierplate.jpg
メニューの解説によれば…
「反り立つ海老春巻は2階へとつづくスロープ、
 三角のパンは屋上のトップライト…
 ル・コルビュジェが設計した国立西洋美術館を
 四角いプレートを使い表現しました」とのこと。

ハンバーグはいたって普通だったけど、
「サーモンとほうれん草のレモンクリームソーススパゲッティ」が
非常に美味〜( ̄▽ ̄)。
反り立つ海老春巻(笑)も、外はカリカリ中はプリプリで美味しかった。

このセットにはデザートも付いている。
04_melonpan.jpg
「こちら、デザートのメロンパンのババロアでございます」…
えっ?!今、メロンパンのババロアって言った?。一瞬耳を疑った。

メロンパン…?

どういうことなんだろう?と一口食べてみると
普通の白いババロアの上に乗っているのは
しっとりと水分を含んだメロンパン。
上にかかっているのはベリーソース。
あら!意外と美味しいじゃないの!。

へぇ〜と思いながら完食し、お会計に向かうと
そこで海老名SAのメロンパンが販売されていた。…これか(笑)。
(なぜここで販売されているのかは不明)。




てなわけで、本題の展覧会。

6月の『ヌード展』に続いて、今年は裸体ブーム?!
…ってことはないのだろうけど、この展覧会は
古代ギリシャ・ローマ、およびルネッサンス期における
「理想的な身体表現」に焦点を当てたもの。
ぷくぷくの赤ちゃんからしなやかな少年期、筋骨隆々のアスリートや神々など
さまざまな男性の裸体彫刻や絵画を中心に、約70点が展示されている。

…という展覧会なのだけど、なんと言っても目玉は
ミケランジェロの大理石彫刻が2体同時にに初来日!なのである。

だから、正直言ってミケランジェロ以外の展示は
バーターみたいなもんでしょー(^^;なんて失礼なことを考えていたのだけど
いやはやそんなことはなく、それ以外の作品にも
「おっ!これは!」というものが多々あった。


展覧会は三部構成。
第1章は《人間の時代 −美の規範、古代からルネサンスへ》。
その中で「子供と青年の美」「顔の完成」「神々と英雄」という
カテゴリーごとに、古代ギリシャ・ローマ時代の身体表現と
ルネサンス期のそれとを比較する構成。

ここで印象に残ったのは
●『蛇を絞め殺す幼児ヘラクレス』(2世紀)
  笑顔で蛇を絞め殺している赤ちゃんヘラクレス…さすが。
●『プットーとガチョウ』(1世紀半ば)
  大理石とは思えないぷくぷく体型がかわいらしい赤ちゃん彫刻だが
  その右手はペットのガチョウをムギュッと押しつぶしている。
●『弓を引くクピド』(2世紀末)
  西洋らしく、脚の長い幼児のクピド。
  弓も矢もどこかへ行ってしまったらしく、遠目に見ると
  右手を高く挙げたポーズは空を目指して飛んでいるように見えて
  それはそれでカッコイイ。

●バッチョ・バンディネッリ『バッカスの頭部』
●ジョヴァンニ・デッラ・ロッビア周辺『バッカス』
 いつも酔っ払ってる酒神バッカスのイメージを覆すような、
 いずれもイケメンなバッカス像。

●アンドレア・デル・ヴェロッキオの追随者『紋章を支える従者』
 地味ながら非常にカッコイイ。
 これをドアストッパーとして使っていたなんて勿体ない。
●『レスラー』(紀元前2世紀〜紀元前1世紀)
 元々は二人のレスラーが取っ組み合っていたものらしく
 今は一人のレスラーしか残っていないが
 その腕を掴む手だけが残っていたり、
 蹴りを入れられた腹が凹んでいたりして
 姿は見えずとも、もう一人のレスラーの姿が浮かび上がってくる。

●ジョヴァンニ・アンジェロ・ダ・モントルソーリ『ネプトゥヌス』
 顔のモデルはミケランジェロ…と言われている。
 殴られた曲がった鼻がそれを物語る。
 ネプトゥヌスに踏んづけられているイルカ(?)の顔も
 どこか漫画的で可笑しい。


そして第2章《ミケランジェロと男性美の理想》。
ここに、かのミケランジェロが制作した大理石彫刻が展示されている。

が、その展示室に到達する前に「おぉっ!」という作品が。
それは、ミケランジェロ周辺の芸術家(ザッカリーア・ダ・ヴォルテッラ?)による
『磔にされた罪人』という30cmほどの小さなブロンズ像。

展示作品を順番に観ていき、さぁ次はこっちだ…と
そちらに顔を向けた瞬間に「えっ?!、あれは何?!」とドキッとする。
透明なガラス板(アクリル板?)の上に、
更に淡いブルーの十字架形のガラス(アクリル?)板が重ねられ、
その十字架の中心に、磔にされた人物像…。

キリスト…?。

でも、これまでいろんな図像で観てきたキリストとは
なんとなく様相が異なる。
近寄ってタイトルを見てみると『磔にされた罪人』とある。

解説によると、これはキリストと一緒に処刑された二人の罪人のうちの一人。
罪人のうちの一人は《良い罪人》で、もう一人は《悪い罪人》。
(罪人に良いも悪いもあるのか?ということは、ここではおいていて…)
3人が並んで磔にされている時、《悪い罪人》はキリストに向かって
「おまえがキリストなら、自分も救って俺たちも救ってみろ」と罵倒したところ
もう一人の《良い罪人》が《悪い罪人》に向かって
「おまえは神を恐れないのか」と諫めたという。

両腕を左右に伸ばし左脚を曲げて、
まるで宙に浮いているような(おそらくは)《良い罪人》。
脇役的な作品ながら、今回最も印象に残った作品のひとつだった。


そしていよいよ主役の登場!。
黒い円形の壁に囲まれた、ミケランジェロ作『ダヴィデ=アポロ』。

未完成のこの大理石像は、聖書に出てくるダヴィデなのか
それともギリシャ神話に出てくるアポロなのか、
どちらかわからないため、このような名前が付いている。

背中に残った石の塊が矢筒ならばアポロだし、投石器ならダヴィデ。
『芸術家列伝』で有名なジョルジョ・ヴァザーリによれば「アポロ」だが、
コジモ1世に没収されたヴァローリの財産目録によれば
「ブオナローティの未完のダヴィデ」。

う〜ん、どっちなんだろうねぇ…と思いながら
大理石像の周りをぐるぐる回ってみる。
正面から観るとそうでもないが、横から観てみると
重心が後ろにあって、なかなかキツそうな体勢であることがわかる。

ダヴィデかアポロか…
第一印象は、なんとなく中性的でやわらかい印象のルックスから
アポロなんじゃないかな〜…。
でも、背中の石の塊は矢筒にしてはペタンコなので
やっぱりこれは投石器では?。
そして右脚で踏んづけている半球体もゴリアテの頭部なのでは?。
となるとダヴィデが有力か?。
でも、同時代を生きていたあのヴァザーリが
アポロと言っているんだから、やっぱりアポロ?。

この『ダヴィデ=アポロ』が製作された経緯は以下の通り…。
1527年、ローマ劫掠の混乱に乗じて、
フィレンツェではメディチ家が追放され共和制が敷かれる。
ミケランジェロは共和国軍の築塞総監督に就任。
しかし1530年、フィレンツェ共和国は
教皇と皇帝の連合軍に敗れ、再びメディチ家の支配下となる。
共和国軍の仲間達が処刑されていく中、
ミケランジェロはメディチ家礼拝堂の地下に潜伏し、刑を免れる。
その後、教皇クレメンス7世との和解を取り持ってもらおうと
教皇軍総裁バッチョ・ヴァローリのご機嫌を取るために
この謎の大理石像の製作を開始した、と言われている。

い、意外と日和見…もとい世渡り上手…(^^;
そんなミケランジェロだからこそ、
88年の天寿を全うできたのかも…などと勝手な想像。
制作のために「生きたい!」という気持ちが
猛烈に強かった人だったのかも知れないと。

1534年、ミケランジェロは教皇からの命でローマに移り住み
その後、二度とフィレンツェに戻ることはなく
『ダヴィデ=アポロ』は未完のままに。
作りかけの作品に未練はなかったのだろうか?とも思うけれども
『ダヴィデ=アポロ』の左太腿のあたりに大理石の黒っぽい筋が見えているので、
去年観た『レオナルド × ミケランジェロ展』を思い出しながら
もしかして実は作るのちょっとイヤになってたかもな〜(^^;
などと考えたりもした。


『ダヴィデ=アポロ』に続いて登場するのが
ミケランジェロ20歳頃の傑作『若き洗礼者ヨハネ』。
スペインはウベダのエル・サルバドル聖堂蔵。
1936年のスペイン内乱で破壊されてしまい
残ったのは全体の僅か40%程度の14個の断片のみ。
長年にわたる修復により、現在の姿に甦った。

焼け焦げて他と色が異なる頭部は痛々しいが、その表情はとても優しい。
後ろに回ってみると、少し前屈みになっていて
目の前にいる誰かに何かを語りかけているように見える。
再び真正面に立ってみると、一瞬目が合ったような気がした。
優しげににっこり微笑んだ顔を見ると、なんだかこっちも思わずにっこり。
個人的には『ダヴィデ=アポロ』よりも『若き洗礼者ヨハネ』の方に惹かれた。


そしてミケランジェロ以外の目玉とされているのが『ラオコーン』。
と言っても、もちろんバチカンにあるオリジナルではなく
ヴィンチェンツォ・デ・ロッシによるほぼ原寸大の模刻。

この作品のみ撮影可。
05_Laocoonte.jpg
「おおおおお〜〜〜!すごーーーい!」
…と言いたいところなのだけど、思ったより小さいし
模刻とは言え、オリジナルと結構違うんだけど…(^^;。


なんて思いながら、最後の第3章《伝説上のミケランジェロ》。
ここでは肖像や、胸像、メダル、出版物などに表された
様々なミケランジェロ本人の姿を紹介。


日本にいながらにして、海外の巨匠の作品が観られるなんて
本当にいい時代だな〜と思うけれど、
やっぱり一度は行きたいフィレンツェ&ローマ…。
生きてるうちにいつかきっと行くぞ!。
そんなことを静かに心に誓いつつ、展示室を後にした。


最後は特設ショップでお買い物。
ミケランジェロの『若き洗礼者ヨハネ』とミケにゃんのポストカード。
それと、ミケにゃんグッズのお得なセット。
06_souvenir.jpg
単品だと入荷待ちのロール付箋が欲しかったもんで…(^^;ゞ。
他の同梱グッズもかわいいし、一緒に買ってもまぁいっかと。

ちなみにミケにゃんの相棒(師匠?)は「ミケ爺」…。



目玉のミケランジェロだけじっくり観て
あとはさら〜っと観て帰ってこようと思ってたのに
思いのほか、他の作品も一生懸命観てしまった(・o・)。


よーし、これでルネサンス気分が高まった!(笑)。
週末はパシフィコ横浜で『Metal of Renaissance』!!。




----------------------
《オマケ》
このあと三ノ輪というところに所用があり、上野から日比谷線で移動。
その帰り「そういえば都電荒川線って乗ったことないなぁ」と思い、
荒川一中前から王子駅前まで都電に乗って、
王子から京浜東北線に乗るという、物凄い遠回りで帰ってきた(^^;。
arakawasen.jpg
今思うと、熊野前から舎人ライナーに乗って
日暮里まで戻ってきても良かったな…。
コメント(2) 

コメント 2

ちあき

オマケに反応(笑)
実は都電荒川線の駅近くに住んでます。
が、乗りませんね~。
最後に乗ったのは、
それこそ舎人公園から舎人ライナーに乗って
熊野前から都電荒川線乗ったという記憶が・・・
私も遠回りだったようで(笑)
普通に西日暮里から山手線乗った方が早かった。。。
たまに乗りたくなるらしい。なんでしょうね、路面電車の魅力って(笑)
by ちあき (2018-08-31 07:57) 

梅屋千年堂

>ちあきさん
あの辺りにお住まいなのですねー。
(「あの辺り」と言っても、広範囲ですが^^;ゞ)。

都電…最初、乗り方がわからないのでドキドキしました。
パスモはいつタッチするんだろう?乗る時?降りる時?両方?とか(笑)。
そして一緒に乗車してる人達との距離も妙に近くてドキドキしました。

路面電車って、昭和ですよね〜。
見知らぬ街の路面電車って、なんだかワクワクします。

by 梅屋千年堂 (2018-08-31 22:07) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。