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ルーヴル美術館展 [EXHIBITION]

『ルーヴル美術館展 肖像芸術 -人は人をどう表現してきたか』
@国立新美術館。

行かなきゃ行かなきゃと思っていた展覧会に
昨日、やっと行ってきた。

「また来たの?」的なルーヴル美術館展。
だがしかし、これでもか!とばかりに
毎回毎回様々なテーマの展覧会が行われる。

今回は肖像芸術に限定した、人・人・人(顔・顔・顔)の展覧会。
古代エジプトやメソポタミア文明の時代から19世紀初頭までの
肖像芸術を紹介しながら、それらの役割や特質に迫ろうというもの。
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館内に入ったら…まずは2階のサロン・ド・テ ロンドへ。
ルーブル美術館展 特別セットの
「ベリーのチーズケーキ ヴァニラのアイスクリームとブルーベリーソース添え」
で鑑賞前のエネルギー補給(^^;ゞ。
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なんだか惑星直列みたいな写真になっちゃったけど…(笑)
ベリーのチーズケーキも、アイスも、マカロンも美味〜(*^^*)。
ただアイスを先に一気に食べてしまったら、
舌が冷え切っちゃって、その後しばらくケーキの味がわからなかった(^^;。

このカフェがこんなに空いているのは珍しい。
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台風の影響なのだろうか…。
展覧会もそれほど混んでいないのかも知れない…。


なーんて期待していたけれど、甘かった。
1階の展示室に降りて行くと、入口付近は結構な混雑。
高橋一生さんがナビゲーターを務める音声ガイドを借りて中へ入っていく。

《プロローグ:マスク -肖像の起源》および《第1章:記憶のための肖像》の前半では
エジプト、メソポタミア、ギリシャなどの古代文明における墓碑肖像を展示。
多くの美術展がそうであるように、入口付近のこれらの展示がめっちゃ混んでいる。

個人的に、古代文明に対する興味はそれほど強くないので
ここらへんの展示は遠巻きに眺めてさらっとスルー。

《第1章》の後半になると、興味深い作品が登場する。
『ブルボン公爵夫人、次いでブーローニュ
 およびオーヴェルニュ伯爵夫人ジャンヌ・ド・ブルボン=ヴァンドーム』
中世ヨーロッパで流行したトランジと呼ばれる墓碑彫刻。
浮世の儚さを伝えるために、遺体が朽ちていく様を表しており
肉の削げ落ちた体からは内臓が飛び出し、蛆虫が湧いている(◎_◎;)。

アンリ・ド・トリケティの
『フランス王太子、オルレアン公フェルディナン=
 フィリップ・ド・ブルボン=オルレアンの墓碑肖像』は
全身の墓碑肖像から、作者のトリケティ自身がその頭部だけを複製したもの。
亡くなっている人、しかも大理石で出来ているのに
その人がそこにいるかのように生々しい。

そしてそれら大理石彫刻に混じって展示されているのが
ジャック=ルイ・ダヴィッドが描いた、かの有名な『マラーの死』。
フランス革命の指導者ジャン=ポール・マラーの暗殺現場を描いたもの。
アタシはこの絵はてっきりマラーの死後、何十年も経ってから
過去の事件を描いたものとして製作されたのだと思っていたのだけど、
そうではなくて、マラー暗殺の翌日にダヴィッドに依頼されて
製作された肖像画なのだそうだ。

これが肖像画なの?!と思ってしまうけれど
カラヴァッジョの『キリストの埋葬』やミケランジェロの『ピエタ』に見られる
キリストがだらりと腕を垂らすポーズを取り入れることで
マラーを革命の「殉教者」に変容させ、英雄化しようという意図があったらしい。


肖像には、こうしたプロパガンダ的な要素が託されているということを
示しているのが《第2章:権力の顔》。
ローマ皇帝や、フランス国王などの威厳を示すための肖像が集まる。

その表情やポーズ、身に纏った衣服などから
その人の威厳や思慮深さ、強さ、勇敢さなどが強調されている。
中でも『トガをまとったティベリウス帝の彫像』は
その表情やポーズから、身に纏ったトガという一枚布の襞(ひだ)まで
細部にわたり注意深く彫られていて、とても大理石とは思えない仕上がり。
威厳たっぷりのティベリウスがまるで目の前にいるようで
思わずひれ伏したくなってしまう(‥;)。

フランス国王ではイアサント・リゴーが描いた『聖別式の正装のルイ14世』。
太陽王ルイ14世の肖像画として超有名な作品で、オリジナルは縦2.77m × 横1.94m。
今回この展覧会に来ているのはリゴー本人が描いた小さいサイズの複製画。
ルイ14世がこの肖像画をいたく気に入って、
こうした小さいサイズの複製画を何枚も作らせたそうだ。

フランスと言えば、
ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングルの
『フランス王太子、オルレアン公フェンディナン
 =フィリップ・ド・ブルボン=オルレアンの肖像』。
ん?…このやたら長ったらしい名前の王太子…
さっき観た墓碑の頭だけ複製されたのが展示されていた人では?と
作品リストを確認してみたところ、やっぱりそう。
そう言われてみれば、彫刻と絵画で作者は違うが王太子は同じ顔。

ここで興味深いのはナポレオンの肖像を集めたコーナー。
血気盛んな27歳のナポレオンを描いた
アントワーヌ=ジャン・グロの『アルコレ橋のボナパルト』から始まり
クロード・ラメによる、
ものすごくご立派な大理石像『戴冠式の正装のナポレオン1世』、
最後はにはフランチェスコ・アントンマルキ『ナポレオン1世のデスマスク』…と
ナポレオンの半生を辿るような展示になっている。
ナポレオンもかなり「自分をカッコ良く描かせた(彫らせた)人」だったらしいけど
さすがにデスマスクはありのままの姿である。


《第3章:コードとモード》では肖像芸術が
コード(=決まった表現の仕方、表現上のルール)を踏襲しつつ
モード(=その当時の流行)を反映しながら
どのような展開を見せてきたのかを考察。

個人的にはここの展示が一番面白かった。
例えば…
サンドロ・ボッティチェリと工房『赤い縁なし帽をかぶった若い男性の肖像』
フランスの画家(?)『《肖像》、通称《フュズリエ爺さん》』
フランスの画家(?)『パンジーの婦人』
『老齢の家庭教師』(←作者名なし)
フランシスコ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテス
『第2代メングラーナ男爵、
 ルイス・マリア・デ・シストゥエ・イ・マルティネスの肖像』
ジャン=フランソワ・ガルヌレ『画家の息子アンブロワーズ・ルイ・ガルヌレ』
ジョセフ・デュクルー『嘲笑の表情をした地画僧』
などなど…

中でも、今回の展覧会でアタシが一番イイ!と思ったのは
レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン『ヴィーナスとキューピッド』。
タイトルを見ずに、作品だけを見ていると一見単なる母子像…?
いや、聖母子像…?。いやいや…よく見ると子供の背中に羽根が生えている。
ということは天使なのか…?。天使を抱っこした聖母…?そんなの見たことない。

と、思いながらタイトルを見ると『ヴィーナスとキューピッド』。
ヴィーナスというと裸あるいはスケスケの薄布のみ着用というイメージだけど
レンブラントが描いたこのヴィーナスは地味な色合いの庶民的な服装で
いわゆるヴィーナス特有のお色気ムンムン(笑)な感じはない。

実は、ここに描かれているのは1650年以降のレンブラントを支えた
ヘンドリッキェとその娘コルネリア。
どおりでこの絵からは愛情が溢れ出ている感じがするわけだ。
とにかくこの『ヴィーナスとキューピッド』には
並々ならぬ愛が感じられるのだ。

この展覧会のメインビジュアルになっている
ヴェロネーゼの『《女性の肖像》、通称《美しきナーニ》』よりも
このレンブラントの『ヴィーナスとキューピッド』の方がずっといい!。
アタシは、そう思った。

レンブラントのみならず、画家が自分の家族の肖像を描いた作品ってのは
(当たり前だけど)どれもこれも愛情たっぷりなのが伝わってくる。
ジャン=フランソワ・ガルヌレの
『画家の息子アンブロワーズ・ルイ・ガルヌレ』なんて、
’70〜’80年代のアイドルかよ!と突っ込みたくなるくらい
(そしてこっちが恥ずかしくなるくらい)可愛く描かれていたる。

そして「可愛い」と言えば、
女性の可愛い肖像画を描かせたら右に出るものはいない
エリザベート・ルイーズ・ヴィジェ・ル・ブラン。
かのマリー・アントワネットにも気に入られていた女流画家である。

この人の描く女性の肖像画は
「これ絶対に実物よりも《盛って》んだろうなぁ〜(^^;」と思わせるほど
どれもこれも可愛く描かれている。
この展覧会では『エカチェリーナ・ヴァシリエヴナ・スカヴロンスキー伯爵夫人の肖像』
という作品が展示されているのだけど、ご多分に漏れず
とっても可愛く描かれている。

ヴィジェ・ル・ブランの自画像ってのがまたカッワイイ。
この展覧会ではヴィジェ・ル・ブランの自画像はないのだけど
オーギュスタン・バジューという人が作ったテラコッタ製の胸像が展示されている。
ヴィジェ・ル・ブランのキュートな自画像を思い浮かべながら
この胸像を観てみると…「なんか、自画像と違くね?」なのである。

胸像のヴィジェ・ル・ブランももちろん美人なんだけど
自画像のヴィジェ・ル・ブランとはちょっと違う。
つまり…
あぁ、自画像も盛っちゃったのね、と(^^;。
そんなところも含めてかわいいヴィジェ・ル・ブランちゃんなのだ(笑)。


最後の《エピローグ》のセクションでは
アルチンボルドの『春』と『秋』を紹介…。
でも正直なところ、「これ、いる?」と思ったことはナイショだ(^^;ゞ。


「描いた人」よりも「描かれた人」や「描かれ方」に焦点を当てたところが
とっても面白い展覧会だった。
音声ガイドの高橋一生さんのナレーションも、とても上手で聴きやすかった。



…というわけで、今回の自分土産。
今回もヤバいルーヴルグッズがたくさんあったけれども、
厳選して買ってきたのはコレ!。
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鎌倉紅谷とのコラボ商品『ルーヴルッ子』。

つっても、ルーヴルッ子なのはパッケージだけで
中身は普通の『クルミッ子』なんだけれどもね(^o^;。
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好きなんだ〜これ。
久しぶりに食べたけど、美味しかった〜(*^^*)。

ホントは『とらや』の「エッフェル塔の夕暮れ」も欲しかったんだけど
売り切れだった…(-_-;。


あとは、ポストカード3枚と…
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ルーヴル美術館のショップで売っているらしい、
毒々しいくらいキラキラした蝶々と薔薇のシールと…
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ルーヴルとはまったく関係ない「katakata」のポストカードとA4サイズの包装紙。
08_katakata.jpg
1階のミュージアムショップの前を通りかかった時に見掛けて
あんまりかわいかったんで、ついつい…(^^;ゞ。
(包装紙、もったいなくて使えないような気が…)
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