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ブリューゲル展 [EXHIBITION]

ブリューゲル一族150年の系譜を辿る展覧会。

場所は東京都美術館。いつもの写真。
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ブリューゲル一族と聞いて思い浮かぶのは
ピーテル・ブリューゲル(父)
ピーテル・ブリューゲル(子)
ヤン・ブリューゲル(父)
ヤン・ブリューゲル(子)
…大抵の場合、この4人だと思う。

この4人の関係は
ピーテル・ブリューゲル(子)とヤン・ブリューゲル(父)は兄弟で
ピーテル・ブリューゲル(父)の息子たち。
従って、ヤン・ブリューゲル(子)は
ピーテル・ブリューゲル(父)の孫、ということになる。

なんだかややこしいので、
展覧会の表示に倣って
ピーテル・ブリューゲル(父)=ピーテル・ブリューゲル1世
ピーテル・ブリューゲル(子)=ピーテル・ブリューゲル2世
ヤン・ブリューゲル(父)=ヤン・ブリューゲル1世
ヤン・ブリューゲル(子)=ヤン・ブリューゲル2世
と呼ぶことにするけれど、ブリューゲル一族は実はこの三代にとどまらず、
ヤン・ブリューゲル1世の後妻の息子であるアンブロシウス・ブリューゲルや
ヤン・ブリューゲル2世の息子ヤン・ピーテル・ブリューゲル、
その弟のアブラハム・ブリューゲル、
更にはアンブロシウスの妹(?)の旦那のダーフィット・テニールス2世
ヤン・ブリューゲル2世の甥っ子(妹?の子)のヤン・ファン・ケッセル1世…
と、もやは自分で書いていてもこんがらがってくるが(^o^;
こんなにたくさんいるのである。

で、この展覧会はそんなブリューゲル一族の
約150年にわたる系譜を辿ってみましょう、というもの。

展示構成は
第1章 宗教と道徳
第2章 自然へのまなざし
第3章 冬の風景と城砦
第4章 旅の風景と物語
第5章 寓意と神話
第6章 静物画の隆盛
第7章 農民たちの踊り

最初の第1章はピーテル・ブリューゲル1世とその師匠や同時代の画家がメインだが
それ以降は時系列ではなく、描かれているもののテーマごとに
様々な世代のブリューゲルの作品が展示されている。

一族で似たような名前の人が多いのでワケが分からなくなってくるわけなんだけど
キャプションの下にどの世代のブリューゲルなのかを示す表も添えられているという
まさに痒いところに手が届く気の利きよう。
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150年も経過すると、一族とはいえその作風は変化していくのでは?と思うけれど
ブリューゲル一族は一貫して、細かい。
前の世代の作品を模倣することで、その作風が脈々と受け継がれているのである。
そして、そうは言いつつもそれぞれに得意分野と不得意分野があるのも興味深い。
ピーテル・ブリューゲル2世は農民の生活を描くのが得意だし
ヤン・ブリューゲル1世は雄大な自然の風景を小さな画面に描くことに長け、
「花のブリューゲル」と呼ばれるように静物画も得意としルーベンスとの共作も多い。

そして、ピーテル・ブリューゲル1世の次男であったヤン1世は
宮廷や貴族相手の多く、裕福な生活を送っていたのに対し
長男のピーテル2世は、農村の風景や農民の生活を描いたものが多く
弟と対照的にその生活は苦しかった、とのこと。


第5章までで「これスゴイ!」「これ好き」と思った作品は以下の通り。
●ピーテル・ブリューゲル1世[下絵]、ピーテル・ファン・デル・ヘイデン[彫版]
 『最後の審判』
●ピーテル・ブリューゲル1世、ヤーコブ・グリンメル『種をまく人のたとえがある風景』
●ヤン・ブリューゲル1世『ノアの箱舟への乗船』
●ピーテル・ブリューゲル2世『鳥罠』
●ヤン・ブリューゲル2世『聴覚の寓意』
●アンブロシウス・ブリューゲル『四大元素』(連作)
などなど…
なんというか、何かの物語の挿絵のように
描かれている人々の挙動の全てに意味がありそうな、ちょっと謎の多い絵が好きだ。





第6章と第7章は、2月18日までの期間限定でなんと撮影OK。

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ヤン・ブリューゲル2世『ガラスの花瓶に入った花束』


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ヤン・ブリューゲル1世、ヤン・ブリューゲル2世
『机上の花瓶に入ったチューリップと薔薇』


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ヤン・ブリューゲル2世
『籠と陶器の花瓶に入った花束』
(なかなか絵の真正面には立てないのでこういうことになる)。


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アブラハム・ブリューゲル『果物の静物がある風景』

静物の背景に、雄大な自然を描くのがこの当時の流行りだったらしい。
果物の描写もスゴイのだけど…
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ところどころに描かれた蝶々の細かさも見逃せない。

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そして、個人的にただならぬインパクトを感じたのがこの作品。
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ヤン・ファン・ケッセル1世『蝶、カブトムシ、コウモリの習作』

まるで昆虫採集の標本箱のような、あるいは昆虫図鑑の1ページのような作品。
大理石に油彩で描かれているため、不思議な透明感があってとっても綺麗だった。



最終章の第7章の展示風景はこんな感じ。
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展覧会の大トリとして、今回の目玉作品の一つであるこの作品が登場する。
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ピーテル・ブリューゲル2世『野外での婚礼の踊り』

婚礼?。ただのお祭りのように見えるけど…?。
と、作品の奥の方に視線を移すと、花嫁と思しきふくよかな女性の姿。
しかし花婿の姿はなく、花嫁の表情もさえないのが気になる…。



昨年の『バベルの塔』展の時のように
気になるところを単眼鏡でじっくり見ながら鑑賞したので
観終わった後はやっぱりグッタリ(笑)。
見応えたっぷり過ぎる楽しい展覧会だった。


余談だけど、こんなふうに作品を撮影できるのは
とっても喜ばしいことだけど
他人のことなどお構いなしに腕を伸ばしてスマホやタブレットで
視界を遮る人がいると「オイオイ…(-_-;」と残念な気持ちになる。




自分土産はポストカード4枚と
『蝶、カブトムシ、コウモリの習作』のA5サイズのノート。
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こういうノートって、
素敵なのは表紙だけで中はフツーに罫線だけ…ってのが多いんだけど
このノートは中もカラー印刷なのがエラい!。

しかも前後のページが透けているのでわかるように
パラパラ漫画のように、ページごとに蝶々の位置が違うのだ。
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これで¥432はちょっと感動的だった。




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《オマケ》
展覧会へ行く前に、御徒町で下車。
パルコヤ上野の中にある濱文様上野店の限定商品「パンダ西郷どん」の
てぬぐいで作られたフラットポーチ。
抗菌仕様でマスク入れとしても使える。
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上野だからって、この2つを結びつけちゃうって発想がスキ(笑)。
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コメント 6

なき

美術レポありがとうございます。

でも今回は最後の西郷どんとパンダでロックオンされてしまいました!
ステキですね~。思わずコメントしてしまいました。すみません
by なき (2018-02-08 22:37) 

梅屋千年堂

>なきさん
《濱文様》さんのテキスタイルが大好きで
売っているのを見ると、ついつい足を止めて見てしまいます。
(そしてついつい買ってしまう…^^;)。
特に「和タオル セミウォッシュ」はアタシにとって真夏の必需品です。

全国に18店舗あって、そのお店ごとに限定品があるようで
これがまたどれもこれも素敵なんです(しかも通販していない)。
遠征先で探してしまいそうでヤバイです(笑)。

by 梅屋千年堂 (2018-02-08 23:08) 

おかん

この展覧会も行きたいのですがちょっと忙しくてまだです、こちらに何度もお邪魔して梅屋さんのレポでフムフムと勉強させていただいてます。

西郷どんパンダなのかパンダ西郷どんなのか、かわいいですね。
手ぬぐい生地私も大好きでしてALFEEのグッズで相模大野が小田急線だったガーゼタオルなんか2枚も買っちゃいました。
by おかん (2018-02-12 17:40) 

梅屋千年堂

>おかんさん
このパンダ × 西郷どんの絵柄には
「パンダ西郷どん」という名前が付いているようです。

ガーゼ素材はいいですよね〜。
いわゆるタオル素材は、夏場に顔面の汗を拭いたりすると
毛羽が付くのがどうも気になって仕方がないので
「夏は絶対ガーゼ素材!」なアタシです。
(でもグッズのガーゼタオルは買ってません…←やや小声^^;)。

by 梅屋千年堂 (2018-02-13 01:33) 

おかん

パンダ西郷どん、って書いてありました、ごめんなさい見落としてました。
動物園のパンダすくすく育っていますね、っていうかどんどん大きくなっていますね(笑)

ガーゼタオルの時、グリーンホールMCで高見沢さんが「相模大野って小田急線しかないのっ??」って言ってたのがウケて大笑いしたのを覚えています。因みに宇都宮は餃子です!(^^)!


by おかん (2018-02-14 21:31) 

梅屋千年堂

>おかんさん
シャンシャンが子パンダなうちに観に行きたい!
…と思っているのですが、
どうしても真冬の朝っぱらから並ぶ気になれないアタシです…。
チケ取りで徹夜で並んでたあの頃のアタシは一体どこへ…(遠い目)。
「そろそろ観に行ってみっか…」と思い立った時には
親パンダと見分けがつかなくなっていそうな気がします(^^;。

>>ガーゼたおる
横浜は確かマリンタワーでしたよね。
なんでランドマークじゃなくてマリンタワーなんだ?!
なんで赤レンガ倉庫じゃなくてマリンタワーなんだ?!
なぜ今、マリンタワーなんだ?!
と、思ったことはナイショです。

by 梅屋千年堂 (2018-02-14 22:13) 

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