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美の祝典 II.水墨の壮美 [EXHIBITION]

ちょっと鮮度が落ちつつある、先週観てきた展覧会ネタ。

18日の水曜日、幸ちゃんの書写真展を観た後、そのまま徒歩で出光美術館へ。
こちらは水墨画によるモノクロームの世界。

先月観た第一弾の《やまと絵の四季》よりも
個人的には今回の方がツボにはまる作品が多かった。

例えば…
●牧谿(生没年不明)『平沙落雁図』
 牧谿自身は宋末・元初の画僧だが、
 室町時代の日本の水墨画に多大な影響を与えている。
 『平沙落雁図』は一見何が書いてあるのか「???」な掛け軸。
 近寄ってよーーーく観ると、空を舞う雁の群れと
 砂浜に舞い降りた数羽の雁がちっちゃく描かれている。
 
●長谷川等伯(1539-1610)『松に鴉・柳に白鷺図屏風』
 その牧谿に、特に影響を受けたのが長谷川等伯。
 右隻の鴉、左隻の白鷺。広く取られた絶妙な空間がたまらない。
 やっぱり等伯はいいなぁ〜(*^^*)。

●長谷川等伯『竹鶴図屏風』
 こちらも場面の静けさが伝わってくるかのような作品。
 屏風なのに、真っ平らな状態で展示されているので
 「なにゆえ(-“-?」と不思議に思ったが、
 元々は襖絵だったものを屏風に仕立て直したとのことで、納得。

個人的に等伯のこの2作品は今回の展示の目玉だった。

●『北野天神縁起絵巻』
 菅原道真の栄華と左遷、怨霊説話や北野天満宮の由来や霊験を描いた絵巻。
 気が触れて上半身裸で走り回る女官が怖い…(^^;。

●『白描中殿御会図』
 宮中に集まった貴族たちの様子を描いたものなのだけど
 一人一人が個性をもって描かれ、そこに貴族の名前も記されているので
 さしずめ「貴族名鑑」といった感じの面白い絵。

●狩野元信『西湖図屏風』
 ちっちゃく描かれた人間や動物がかわいい。

●渡辺崋山『鸕鷀捉魚図』
 すっごく難しい字だけれど、鸕鷀(ろし)とは川鵜のこと。
 川鵜が魚を飲み込まんとするその瞬間。
 それを頭上の木の枝から、若干物欲しそうに見つめている翡翠。



そして、国宝『伴大納言絵巻』。
今回は中巻が展示されている。

前回は伴善男の忠告により、左大臣を処罰しようとした天皇を
藤原良房が「拙速な判断をなさらぬように」と諫めている場面で
「つづく…」となった。

中巻は、無実の罪を着せられた左大臣や家族の嘆きから
一転、無罪放免になったと知った彼らの安堵の姿が描かれる。
そしてしばらく後、伴大納言の出納の子と舎人の子の間の
喧嘩というひょんなことがきっかけとなって、
応天門放火の真犯人が暴露されてしまう。
危うし、伴大納言!。

ここまでが中巻のお話。

中巻に描かれている場面で一番面白いのは
やっぱり子供同士の喧嘩の場面。
子供同士が取っ組み合いの喧嘩を始める
→子供の喧嘩に親が出てくる
→出納に物凄い勢いで蹴り飛ばされる舎人の子
→家の中に引き戻される出納の子
と、同じ画面の中に異なる場面が異時同図法で描かれている。

何が傑作かって出納に蹴り飛ばされる舎人の子のリアクション。
コントか!ってくらい、大きなリアクションなのだ(^o^;。

『伴大納言絵巻』って、本当に『鳥獣人物戯画』に負けないくらい
自由だし表情が豊かで面白い。
この時代(平安時代末期)って、意外に自由な時代だったのかも。



今回の自分土産は、気に入った作品のポストカード数枚と
『伴大納言絵巻』の解説冊子¥500。
お手頃価格で、コンパクトにまとまった内容が気に入って購入。
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6月17日から第三弾は、いよいよ大好きな抱一・其一が登場。
楽しみ〜〜〜♪
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