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『燕子花と紅白梅』光琳デザインの秘密 [EXHIBITION]

あの二大国宝ふたたび。

(5/7の話)

尾形光琳(1658-1716)の『紅白梅図屏風』と
『燕子花図屏風』を観るために
今年の2月に熱海のMOA美術館へ行ってきたけれど
今度は南青山の根津美術館にこの二大国宝がやってきた。

当初はMOA美術館で観てしまえば、
根津美術館の方は行かなくてもいいかな…
と思っていたのだけど、その他の作品の展示内容がまったく違っていたので
やっぱりこっちも観なくちゃダメだな、ということで7日に行ってきた。

根津美術館に着いたのは午前11時過ぎ。
敷地内に入ると、美術館の入口へ続くアプローチが長蛇の列!。
更にチケット購入まで「20分待ち」の立て札が( ̄口 ̄;)。
でもまぁいたしかたない。
一番混んでいる時間帯だと知りながら
わざわざこの時間帯を選んでんでやってきたのだ。

それに、日頃「長蛇の列」に慣らされてるせいか(笑)
20分なんてまったく大したことなかった。
チケット売り場の係の方々の手際の良いこともあり
あっと言う間に館内に入ることが出来た。

チケットを手にしたら、まずはNEZU CAFE直行。
『NEZU CAFEでランチ』。
実を言うと、これがこの一番混んでるであろう時間帯に
やってきた理由なのだ。

展覧会を観た後でもいいのだけど、
そうなると多分カフェも混雑するだろうし
なにしろ今、イイ感じでお腹が空いている。
よ〜し!今日はミートパイかハンバーグを食べるぞ〜!
と、カフェの方へ歩いて行くと…

うわぁ〜…外まで並んでら(^o^;。

でもこれしきでひるんではいけない。初志貫徹。
時間はたっぷりあるのだ。いくらでも待とうじゃないか。

というわけで、ここでも15分くらい待ってようやく席に案内された。
ミートパイかハンバーグと思っていたけれど、もうこの頃にはお腹がペコペコで
ここは迷わずハンバーグ!という気分になっていた。

そして、注文してから料理が出てくるまでがまた長い(-_-;。
まぁ混んでいるからいたしかたあるまい。
ここでもやはり20分以上待って、ようやく「本日のハンバーグ」が運ばれてきた。
nezu_1.jpg
「本日の…」ってことは、日によって付け合わせ等が微妙に異なるのだろうか?。

ロールパンとくるみパンが付いて¥1,350。
野菜たっぷりなので、サラダを別に頼まなくても大丈夫。
ナイフを入れると、じゅわっと肉汁が出てきて美味〜♪( ̄▽ ̄)。
出来ることならパンをおかわりしたいくらいだった…。



お腹が満足したところで、いよいよ本題の展覧会鑑賞。
展示室に入っていくと、まず右手に伊年印の『四季草数屏風』。
四季の花々が詳細に描かれた、とても美しい屏風。
…あれ?。これってちょうど1年前に『燕子花図屏風』を観に来た時も
ここに展示されてなかったか?と、
去年の記事を確認したらやっぱりそうだった(^o^;。

続いて俵屋宗達(生没年不詳)筆と伝えられる、六曲一双の『蔦の細道図屏風』。
『伊勢物語』に取材しているそうだが、人物は一切描かれておらず
蔦の葉と、緑色の道と、賛が描かれているだけ。
緑でベタ塗りされた部分と、蔦が描かれた部分と、それ以外の部分に3分割された
画面構成がすっごくモダンで斬新。
このデザイン性が、後の光琳に影響を与えているのでは…という展開で
いよいよ二大国宝のお目見え。

MOA美術館では、『燕子花図屏風』と『紅白梅図屏風』が
向かい合わせで展示されていたけれど、ここでは横並び。
展示室内が広く、ゆとりがあるので、近づいたり離れたり、
いろんな視点から2つの作品を鑑賞することが出来る。
なので、結構混んでいるのにもかかわらず、殆どストレスを感じずに
ゆっくり観ることが出来た。

この展覧会の目玉は、もちろんこの二作品なのだけど
既にMOA美術館で観てきている自分にとっては
どちらかというとこの後に続く他の作品の方に興味がある。
MOA美術館では、光琳以降の琳派の系譜とも言うべき展示になっていたけど
根津美術館では光琳その人の仕事にスポットを当てて
光琳の優れたデザイン性に着目した展示になっている。

今回、面白いと思ったのは『白梅図香包』や『蔦図香包』などの
「香包」を掛け軸に仕立てたもの。
「香包」はその名の通り、香木を収めるための包み紙みたいなものなのだけど
上下左右を折りたたんで使うので、折りたたんだ時の図案の出方や
折りたたまれたものを広げていくときに、
どのように図案が展開していくかということも工夫されている。
しかも最終的にそれを全部広げたときにも、
掛け軸に出来るほどバランス良く図案が配置されているのである。
こういう仕掛け、好きだな〜。

あとは小西家文書の『円形図案集』や『図案小品集』などの図案集や
印籠や蒔絵箱の下絵のとして描かれた
光琳の、言わばアイデア帖みたいなものも興味深かった。
光琳は、もちろん絵師・画家ではあるけれども、
斬新なアイデアで様々な意匠を生み出した
“デザイナー”だったんだなぁと改めて思い知らされた。


今回の自分土産は、紅白梅でも燕子花でもないポストカード4枚。
(意外に「これ!」と思った作品のポストカードが売ってなくて…^^;)。
nezu_2.jpg




このあと、また六本木まで移動して
サントリー美術館の『若冲と蕪村』を観に行こうか迷ったのだけど
もはや大きな展覧会をハシゴする気力は残っておらず
結局、日本橋タカシマヤの『京都・細見美術館 琳派のきらめき』展へ。
そこで、横浜展では展示されていなかった
酒井抱一(1761-1829)の『桜に小禽図』を観て帰ってきた。

もうほぼこの『桜に小禽図』を観るためだけに¥700払ったようなものだけど
やっぱり観ておいて良かった。
桜の枝にとまる、小鳥の青色が利いていて、とても素敵な作品だった。

あとは、そうそう!
こっちの細見美術館展の方にも尾形光琳の『柳図香包』という作品があって
前回横浜で観たときは何も知らずに眺めていたのだけど
「香包」がどんなものなのかを分かった上で改めて観てみると、
「畳んでも絵になる」「開いても絵になる」というこの作品が
いかにバランス的に優れているのかがよく分かった。

で、こっちで買っちゃったのが『桜に小禽図』のポストカードと
芸艸堂(うんそうどう)が出している和綴じ豆本シリーズの『鶯邨画譜』。
hosomi_2.jpg
鶯邨(おうそん)てのは酒井抱一の晩年の画号。
その画号で出版した画譜の豆本で、
「お手軽コンパクト抱一画集」そんな感じのかわいい和綴じ本なのだ(*^^*)。
(これ…他のシリーズも欲しくなっちゃうなぁ^o^;)。
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おーちゃん

あちこちでいろんな美術展をやっていると、何をいつ見ようかスケジューリングが難しいですよね。特に前期後期で変わるものは。

ワタクシはやはり高島屋には行けずじまいでした・・・。
ですが!同僚に琳派好きがいて、「こういうのやってるよ」と教えたら知らなかったらしく、「行ってきました~!教えてくれてありがとうございます!」とえらく感動した様子で感謝されました。「私も人に教えてもらって・・・(梅屋さんて人に)」(笑)

鳥獣戯画、行かれたんですね!並ぶ自信がなくて、どうしようかずーーーっと思案しているのです。でもグッズは欲しいな~(^^;)
by おーちゃん (2015-05-16 17:18) 

梅屋千年堂

>おーちゃんさん
最近前期後期で展示を分ける展覧会が多くて
「商売うまいなぁ〜」という感じです(^^;。
どうしたって二度行かなければならないではないですか。
観覧料だってバカにならないのに〜(笑)。

鳥獣戯画展、グッズだけでも購入できますよ。
展覧会オリジナルグッズ以外にも、高山寺オリジナルグッズもあったりして
よりどりみどり、思わず財布の紐が緩みます(^o^;。
展覧会会期終了間近になると、完売のグッズも出てくると思いますので
お目当てのグッズがある場合はお早めに…(ってアタシは回し者か?!)。

by 梅屋千年堂 (2015-05-16 22:37) 

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