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『燕子花と紅白梅』光琳アート -光琳と現代美術- [EXHIBITION]

2月17日、
尾形光琳の二大国宝を観るために熱海はMOA美術館へ。

自宅最寄り駅から横浜市営地下鉄に乗って戸塚まで。
そこから東海道線に乗って、えっちらおっちら熱海まで。
熱海駅に到着したのが9時52分。
熱海駅から美術館まではバスで約7分。
バスターミナルの8番のりばに行ってみると、既に美術館行きのバスが停車中。
…うわっ、すっごく混んでる(◎_◎)。
バスが出発すると一気に坂を上がって、小高い丘の上にあるMOA美術館に到着。
01_entrance.jpg
必要な荷物だけ持って、あとの荷物はコインロッカーへ。

この美術館を訪れるのは、おそらく32年ぶりではないだろうか。
確か中学を卒業した年だったと思うのだけど、
仲の良かった美術部の仲間4人で来たような気がする。
が、いったいそこで何を観たのかはさっぱり憶えていない(^^;。
おそらく今くらいの時期だったので、
やはり尾形光琳の『紅白梅図屏風』を観に来たのではないかと思うが
当時のアタシは日本画にはまったく興味がなかったので
『紅白梅図屏風』を観たような気がする…、そんな記憶しか残っていない。
じゃぁなんでこんなところに行ったのかというと
確か仲間のお母さんが「行ってみない?」と言ったので
「じゃぁ卒業記念に行こうか」みたいな感じだったんじゃないかと思う。

そんなこんなで過去の記憶が殆ど皆無のMOA美術館。
入口を入ると「こんなんあったっけ?!」と思うような
長ーーーーーーいエスカレーター。なかなか展覧会場に辿り着けない。
なんでもこのエスカレーターは総延長約200m、高低差は約60m。
とにかく「ま、まだぁ?!」とぼやきたくなるほどの長さなのだ。
…まぁ、いい方にとらえれば、ワクワク感が増すっちゃ増すけども。


ようやく本館へ到着。
こんなに高いところにあったんだ?!。
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展覧会の正式名称は
『尾形光琳300年忌記念特別展 「燕子花と紅白梅」光琳アート -光琳と現代美術-』
オンライン割引きクーポンを呈示し、チケットを買っていざ展示室へ。

しっかし…ド平日の真っ昼間、しかもこの寒さと雨の割には混んでいる。
確かに話題の展覧会ではあるので、
ガラガラに空いているとは思ってはいなかったけど、
思っていたよりは混雑している。

一番最初の展示室に入った途端、
向かって右手に『紅白梅図屏風』、左手に『燕子花図屏風』、
尾形光琳(1658-1716)の二大国宝がダダーン!と
向かい合って展示されていて、いきなり圧倒される。

うわーうわーどっちから観たらいいんだーっ!(°°;))。。。。・・((;°°)
…思わず目が泳ぐ(笑)。
んんんーーーっ、とりあえず『紅白梅図屏風』から行こう。

可憐な赤い花をつける右隻の紅梅。
屏風の折れ曲がった部分を境に、大きくVの字を描くダイナミックな左隻の白梅。
どちらの幹も、金地の上に突然生えている。
そして左隻の右側、右隻の左側、二つの屏風のど真ん中を貫く水の流れ。

アタシは結構大人になるまでこの渦を巻く黒い塊が
どうしても水には見えなかった。こんなドス黒い川がある?、ホントに川なの?と。
ところが近年の科学調査で、この部分は銀箔字に水紋をマスキングして
それ以外の部分を硫化させて黒く変色させたことがわかったらしい。
なので、現在、水流の赤茶っぽくなってしまっている部分は
もともとは銀色に輝いていた…
それを踏まえて、その姿を想像しながら改めてこの屏風を観てみると
製作当初はさぞかし煌びやかでゴージャスな屏風だったのかとワクワクする。
もちろん、時の流れを感じさせる今の姿も渋味があってカッコイイ。

フと、屏風の下の方に視線を移すと、右隻の下には紅梅の花と花弁が、
左隻の方にも白梅の花が落ちている。
まるで屏風の中の梅の木から転げ落ちたかのようだ。

実はこの紅白梅も、現代美術家の須田悦弘の『梅』という作品。
須田氏は、本物そっくりに仕上げられた草花の木彫作品でよく知られている。
この小さな梅の花も、とても木で出来ているとは思えない。
そしてこの小さな木彫りの梅の花が、展示ケースの中にそっと置いてあるだけで
『紅白梅図屏風』がより活き活きとしたものに感じられて
アタシはとっても粋な展示方法だな、と思った。


向かいにあるのは『燕子花図屏風』。
去年の初夏に、根津美術館で観ているので、その時ほどの感動はないけれど
あ〜、この燕子花の群青色はやっぱりいいなぁ〜と思う。
まるでスタンプでぺったんぺったん押していったような
群青色の花と緑青色の茎と葉。
これも金地の上に突然生えているんだけど、
『紅白梅図屏風』と同様、その不自然さが気にならない。

『紅白梅』と『燕子花』、どちらが好きかと訊かれたら…
それはすっごく難しい質問だけれど、強いて言うなら『燕子花』か…。


去りがたい空間だが、いつまでもこの展示室にいるわけにはいかない。
広い展示室なのに、椅子を置いていないのは
回転をよくするためなんだろうなぁ…なんてことを思いながら次の展示室へ。

次の展示室では、《光琳100年忌》と題して
1815年、光琳の100年忌に酒井抱一によって編纂された『光琳百図』に
所蔵されている作品を中心に展開。
実にいろ〜〜〜んな「光琳の仕事」を観ることができる。
ゴージャスな金屏風だけが光琳ではない。
さらさらっと筆で描いたちょっとなごみ系の作品が並ぶ。
個人的には『波に白鷺図』、『兼好法師図』、
尾形光琳絵・乾山作の『銹絵寿老人図角皿』なんかが印象に残った。
特に『銹絵寿老人図角皿』の寿老人の顔は最高だったなぁ。


続いては更に100年後の《光琳200年忌》で紹介された作品。
ゴージャス系では『槇楓図屏風』。
『紅白梅〜』の梅の花や『燕子花〜』の花や葉のように
赤く染まった楓の葉が、まるでスタンプで押されたかのような描き方。
一見すごくリアルに描いてあるように見えるのに
よーく観ると、スタンプ状でデザイン的。光琳のこういうとこ、好きだなぁ。

なごみ系では『恵比寿図』。
釣りを楽しむ恵比寿様の表情が親しみやすくて可愛い。


後半の展示は、ガラッと変わって《光琳を現代に生かす》。
「光琳を現代に生かす」とは、岡倉天心(1863-1913)の言葉だそうで、
ここでは、光琳芸術の影響がうかがわれる近現代作家の作品を紹介している。

これはカッコイイ!とシビレたのは、加山又造(1927-2004)の『群鶴図』。
プラチナ箔を敷き詰めた四曲一双の屏風の上に
右隻左隻それぞれ十数羽の丹頂鶴が、同じ方向を向いて描かれている。
十数羽の丹頂鶴なのだけど、複数の鶴が群れをなしているというよりも
アタシには1羽の鶴の動きの残像を観ているようにも思える。
なんだか、屏風の中からキリッとした冬の空気が伝わってくるような作品だった。

平松礼二(1941-)の『池の梅』も、「うわーっ!」と圧倒される作品。
これは明らかに光琳の『紅白梅〜』からインスピレーションを受けているが
その花の数、池に浮かぶ蓮の葉の数がスゴイ(^^;。

杉本博司(1948-)の『月下紅白梅図』もカッコイイ。
これは光琳の『紅白梅図屏風』を超高精細のデジタルカメラで撮影し
プラチナ・パラジウム・プリントという技法で作成したもの。
簡単に言ってしまえば、『紅白梅〜』のモノクロ写真(簡単過ぎだろ^^;)。
なのだけども、梅の花と水の流れが暗闇の中で白く際立っている。
展示室も非常に暗く、ほとんどこの作品のためだけに存在している。
本当に月明かりの下で梅の花を観ているかのような気分になる。

その他は
・村上隆『ルイ・ヴィトンのお花畑』
・会田誠『紐育空爆之図(戦争画RETURNS)』
・高田安規子・政子『レース(八ツ橋)』
あたりが印象に残った。


光琳の作品も多数展示されていたけれども
思っていた以上に近現代作品の展示も多く、
展示の前半と後半で、光琳と現代アートを比較するという面白い企画だったと思う。

ううーむ…。でも、もっと観たいぞ光琳。
MOA美術館の展示を観れば、4月18日から根津美術館で始まる
『燕子花と紅白梅 光琳デザインの秘密』は観に行かなくてもいいカナ…
なーんて思っていたけど、やっぱりこりゃ行かなきゃダメだ!。



一通り観終わって、時計を観たらちょうどお昼時。
館内のレストラン《桃山》でランチをするとしよう。


《TO BE CONTINUED...続く》
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コメント 8

あ~こ

梅屋さん、こんばんは。
先日は、お騒がせいたしました<(_ _)>
引き続き、こんな私ですがよろしくお願いいたします。

それにしても、梅屋さんのフットワークのよさには感心いたします。

私は、何をするにしてもあと一歩が踏み出せずにいることが多いので改めて反省いたしました(_ _)

それでも、アルフィーに復活してからのこの2年半は私的には精一杯の行動力でもって頑張っています。
昔の私は、一人でライブに行くなんて考えられませんでした。
アルフィーって、すごいパワーをくれるんですよね。
だから、やめられない(笑)

でも、最近は家族やお姑さんにも、「よっぽど好きなんだね~。」と納得して貰えてるみたいです\(^o^)/

美術館の話からそれてしまい申し訳ありません。
また、お邪魔いたします。

by あ~こ (2015-02-18 22:53) 

梅屋千年堂

>あ〜こさん
無事に連絡が取れて安心しました(^_^)。
チケットが届くまで、特にご連絡することもありませんが
心配しないで待っていてくださいね。

確かに、アタシにとってもアルフィーは
いろんな意味での原動力になっているような気がします。
美術展遠征するのも、アルフィーのライブで遠征するのと同じ感覚です。
普段からあーゆーことばっかりやってるから抵抗ないんでしょうきっと(笑)。

イヤなことを我慢してやることよりも
好きなことを我慢してやらないことの方が数倍ツライ…そんなアタシです。

by 梅屋千年堂 (2015-02-19 00:34) 

きゅう

全然違う話でスミマセン

今日小田さんのライブに行ってきたのですが…オンステージシート当たりました!!!!!!!!
座席に座ってボーッとしていたら係の人が「チケットを確認させていただいてよろしいですか?」「えっ?違う席に座ってた?」「(確認後)オンステージシート当選しましたので…」「はい?」と声が裏返って一瞬ハニワ顔。
で三列あるシートの1列目の真ん中の席へ…(うわっ!すごっ!)。
モニターが用意してあるのですが結局モニターはほとんど見ること無く栗尾さんのキーボード演奏の細かなところや、有賀さんが小田さんのMC中にベースのチューニングを調整しているところ、金原さんと徳高さんの譜面台の上にクマが置いてあること、イヤモニのジャックを差すところが椅子の背もたれに付けてあるところ…などなど通常のライブでは見ることができないところばかりを「ほうほう」とみて感激していました。
そのためノリノリで演奏する金原さんをみていたら横に小田さんがいることに気がつかなかったり(笑)。終わったら声カスカスで脱水状態だったのはライトが熱かっただけでは無いと思います。
未だにあれは夢だったのではと思っています。

この下半期は坂崎さんのピックといい、すべての運が来ているのがこわい…(冗談で応募したモーニング娘。のコップのフチ子さんもあたったし)。
by きゅう (2015-02-19 01:37) 

梅屋千年堂

>きゅうさん
スゴイじゃないですかーっ!。おめでとうございます。
確かに全然チガウ話ですけど(笑)、これは誰かに言わずにはおれないですよね。
ましてやアタシが小田さんのライブに行く来月まで待てるわけありません(爆)。
えぇもうどうぞどうぞ、自慢しまくってください。こんなところで良かったら。

で、どうなんですか。
客席から羨望の眼差しで見られる気分ってどんなですか。
立ち上がって手拍子する時とか、
ちょっと気恥ずかしかったりするんですか?どうなんですか。
小田さんからマイク向けられて歌いましたか?どうなんですか。
小田さん、男性の方にマイク向けるの好きですから
ホントは歌ったんじゃないですか?どうなんですか(笑)。

落ち着いたら(笑)、またいろいろ聞かせて下さいね。

それにしてもツイてますね!。
こうなったら、この先もこの調子で行ってしまいましょう!。

by 梅屋千年堂 (2015-02-19 01:49) 

きゅう

違う話だけ書いて本題を忘れていました(笑)。
確かエスカレーターの途中のホールみたいなところで定期的に音楽が流れて光がキレイに切り替わって軽いショーみたいになっていた気がするのですがいかがでしたか?

>こんなに高いところ
確かこの美術館の屋上にTBS(かな?)のお天気カメラがあってテレビでの「現在の熱海です」はここからの映像と聞いたことがあります。

>違う話
客席からの視線は舞い上がっていたのでわかりませんでした(みんなステージのメンバー見ているし)。
手拍子はタイミングがずれると恥ずかしいのでちょっと真剣でした。
マイクは来ませんでした(声カスカスだったから良かったのか?)。

家に帰ったら母が「そういえば抽選でステージの席が当たるって言っていたけど当たったんじゃないの?」と…超能力者?
「もうちょっといい服着ていけばよかったのに」←何の心配を?


by きゅう (2015-02-19 02:07) 

梅屋千年堂

>きゅうさん
早く展示フロアに辿り着きたい一心で
エスカレーターを歩いて昇らないまでも
平らなところはかなりの早歩きでスルーしていたので
正直気が付きませんでしたが(実は帰りも気付いていない^o^;)
そんなスペースがあったような気もします(笑)。
なんだか今になって、いろいろ見逃していたんじゃないか?という気がします。

>>(みんなステージのメンバー見ているし)
いやぁ、始まる前は結構オンステージシート見てますよ( ̄ー ̄)。
少なくともアタシは、ですが(笑)。

>>当たったんじゃないの?と…
お母さんスゴイ!。女の勘ってヤツですか。
あるいは、帰宅したきゅうさんの顔に「当たりました」って
書いてあったのかも知れません。いつもと顔付きが違ってたのかも?(笑)。

by 梅屋千年堂 (2015-02-19 02:16) 

おーちゃん

寒い雨の熱海、お疲れ様でした。

梅と燕子花、なんてゴージャスな空間!そして現代まで連なる光琳アートの数々、堪能されたようで何よりです(^^)
私は熱海には(多分)行けないので、根津を楽しみに待ってます。
また違うコンセプトのようですね。何をどう見せてくれるか・・・。

畠山美術館にも行かれたのですか。都心にあんな空間があるとは知りませんでした。今度行ってみようかな。

今年はホントに琳派祭りですね~。
by おーちゃん (2015-02-19 23:43) 

梅屋千年堂

>おーちゃんさん
行ってきました!熱海。
しかし、奈良へ行った時よりもどっぷり疲れてしまい
帰りの東海道線ではアホのように爆睡でした。
(美術展鑑賞って一生懸命観ると結構エネルギー使うんですよね)。

畠山記念館は本当にいいところでしたよ。大いにオススメです。
ホッとしたい時に、フラッと訪れてみるのもいいかも知れません。

次に行く展覧会は琳派じゃないけど、水戸芸術館の『山口晃展』の予定です!。
(水戸かぁ〜こらまたちょっと遠いなぁ←何をいまさら…)。
by 梅屋千年堂 (2015-02-20 00:45) 

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