SSブログ

ミケランジェロと京都 [EXHIBITION]

先週ハシゴした2つの展覧会。

まずは『システィーナ礼拝堂500年祭記念 ミケランジェロ展 -天才の軌跡-』。
場所は国立西洋美術館。

前売り券を買ってあったのに、気が付いたら会期終了10日前!( ̄口 ̄;)。
michelangelo.jpg

ラファエロもそうだけど、ダ・ヴィンチなんかに比べると、
ミケランジェロの作品を日本にいながらにして
直に観ることの出来る機会は極めて少ない。

今回の展覧会は、ミケランジェロがフィレンツェに残した住居、
カーサ・ブオナローティが所蔵する素描・彫刻・書簡など約30点の他、
関連作品を含めた60点を展示するというもの。

ダ・ヴィンチの素描や書簡も勿論貴重なのだろうけど、
意外にこれまで目にする機会は何度かあった気がする。
でも、ミケランジェロのそれを観るのは、アタシは初めてじゃないだろうか。

第1章の目玉作品は『レダの頭部習作』。
フェラーラ公の依頼で描いた『レダと白鳥』のための準備素描。
レダは女性だけれども、モデルとなっているのは男性。
それを女性らしくするために、睫毛を長くしたり鼻の形を変えたりしている。
完成作品は残念ながら表現が卑猥だとして失われてしまい現存していないが、
今回の展覧会では、後世の画家が描いた模写作品が展示されている。

が、この模写作品はちっともミケランジェロっぽくないのである。
ミケランジェロの作品にしては、女性の体が柔らかすぎる。
多分、模写をした画家の好みが少なからず反映してるんじゃなかろうか。
ミケランジェロが描いたものは、他の作品の女性たちがそうであるように、
きっともっと筋肉質だったに違いない(…勝手な想像だけど^o^;)。

この素描を、今から約500年前にミケランジェロが描いたのかと思うと
それだけで時空を越えたような気分になるけれど、
それをもっとリアルに感じられるのが、ミケランジェロの直筆の手紙。

割と整然とした几帳面な読みやすい字で書かれているのがちょっと意外だ。
当然イタリア語なので何が書いてあるのかはわからないが、全体が整っている。
Michelangelo Buonarrotiという署名もはっきり分かる。
これをかのミケランジェロが書いたのかと思うと、
それだけでなんだかワクワクしてくる。
よくぞこんな手紙が残っていたなぁと。

ミケランジェロと言えば、ローマ・バチカンのシスティーナ礼拝堂の
天井画と壁画だけれど、さすがにこれは持ってこられない(^^;。
そこで今回は、ミケランジェロがこれらの作品を製作するにあたり描いた
素描の習作が何点も展示されている。
ホントにササッと走り書きしたようなスケッチなのだけど
ミケランジェロはこうした習作をこまめに処分してしまっていたので
このような形で残っているのは極めて珍しいのだそうだ。

システィーナ礼拝堂の天井画がいかに壮大であるかを
来場者に伝えるために、実物大の天井画の一部分(もちろん複製)も
展示されている。
展示されているのは、天井画の『デルフォイの巫女』の部分。
部分だけど…デカイ。

実はこの複製は徳島県鳴門市にある大塚国際美術館から借りてきたもの。
この美術館は、正解の名だたる名画を陶板で再現し展示するという
一風変わった美術館で、悪く言えばニセモノ美術館なんだけど(^o^;
この陶板による複製が実に見事に作られているので
一度に世界の名画に触れられる(複製だけど)という点においては
アトラクション的に楽しめちゃう美術館なのである。

もう10年以上前になるけれど、鳴門の渦潮を観に行ったついでに
この美術館にも立ち寄って、システィーナ礼拝堂の
実物大の天井画と壁画を観たときは、そのスケールの大きさに圧倒された。
複製ですらこんなに凄いんだから、実物はこんなもんじゃないだろう。
やっぱり生きてるうちに、一度は行っておきたい。


展示の途中で、システィーナ礼拝堂の天井画および壁画を
今流行の4K映像で映し出している部屋がある。
この映像がもう!!!素晴らしく美しい。
多分肉眼で観るよりも明るくて美しい。
これまであの天井画にここまで近づいた映像があっただろうか?!。
えっ?!そこまで寄っちゃう?!ってくらい、
天井画の『アダムの創造』を大写し。
筆致までわかってしまうほどなのだ(@o@)。


展覧会の最終章の目玉は
『階段の聖母』
『キリストの磔刑』
『クレオパトラ』
の3点。

『キリストの磔刑』は高さ数十センチの、小さな木彫りの磔刑像。
ミケランジェロの最晩年の作品。
年老いたミケランジェロが一刀一刀削っていったと思われる
小型のノミの跡が生々しい。

最後は『クレオパトラ』の素描。
ミケランジェロの素描の中でも、完成度が高く
名作の誉れ高い作品であるとのこと。

毒蛇に自分の乳房を噛ませて、
今まさに自らの命を絶とうとする場面を描いているのだけど
一般的に多くの日本人が抱いているクレオパトラのイメージとは随分異なる。
特に髪型が…(^o^;。

この作品は、描かれた紙の裏側に実はもう1つのクレオパトラが描かれている。
表は女王としての威厳を感じさせる表情。毒蛇に乳房を噛まれても動じない。
ところが、裏面のクレオパトラは、毒蛇の毒が回ったのか醜く顔を歪めている。
下書きみたいな感じなのに、逆にそれが物凄く怖かった。



本当は、この日はミケランジェロ展だけ観たら帰ろうと思っていた。
ミケランジェロ展は、思ったほど混み合ってはおらず
展示されている作品数も適量だったせいか、
外に出て時計を見たらまだ14時…。
もう1つ、行っちゃう〜???。


うーん、どうしようかなーと考えながら、足は東京藝大美術館へ。
なんでかというと、仏頭展のショップで売っている
興福寺の精進ふりかけを買いに行くため(笑)。
9月に行ったときには売っていなかった「よし」と
前回買って美味しかった「丹(に)」を1袋ずつ購入。

藝大の前の電話ボックスの上にいた三毛猫。
cat.jpg



てなわけで、『特別展 京都 - 洛中洛外図と障壁画の美』@トーハク。
kyoto.jpg
うーん、やっぱしこっちも観てくか!。


ミケランジェロ展が思ったよりも混んでいなかったので、
こちらももしかしたらそれほどでもないのでは…と、期待していたのだけど、
そんなことはなく、やっぱり混んでいた(^^;ゞ。

目玉の一つは、前期・後期通して、
国宝・重文である7点の洛中洛外図屏風がすべて展示されること。
残念ながら、国宝である上杉本は前期で展示が終わってしまった。
あー、もっと早くに行っておけばよかった。後悔先に立たず。

細部までじっくり観察するのが楽しい洛中洛外図屏風なんだけど、
みんなガラスにへばりついてなかなか、いやちっとも動かない(^^;。
ゆっくりでもいいから、横移動しながら鑑賞してくれ〜と思うのだけど…。
特に舟木本などは近くに寄って観たかったのだが
ホンットにガラスの前から微動だにしない人が多くって…(-_-;。

そんなことを配慮してかどうかはわからないが、
展覧会の冒頭では、この舟木本を4Kカメラで撮影した映像が
巨大なスクリーンに映し出されている。
その拡大っぷりと行ったら、先程のミケランジェロの天井画といい勝負。
肉眼で観るよりも高精細なのが、人類として悔しい(笑)。

4Kの映像は、これだけではない。
龍安寺の石庭の四季を撮影したものが、
これもまた巨大なスクリーンに投影されている。
あまりにも精細な映像なので、3Dでもないのに、
まるで自分が龍安寺の縁側にいるようなリアリティ。

ミケランジェロ展と、この展覧会での4K映像を観て、
4K映像はこれからの展覧会のありようを変えて行くかも知れないと思った。

もう一つの目玉は二条城の障壁画。
現在二条城へ行って障壁画を観ようと思っても、複製を遠巻きに眺めるだけ。
今回の展示では、本物を、実際と同じレイアウトで、
ガラス越しではあるが、間近で観ることが出来るのだ。

襖だけでなく、長押の上までダダーンと天井近くまで、
二条城の大広間や黒書院の壁面が再現されている。
正直、長押の上の部分は高すぎて見づらいけど、
かなりの迫力であることは間違いない。

十分をこんな風に飾る展示方法自体、
かなり斬新で勇気のいることらしいのだけど、
どうせだったら床も畳にしちゃって、来場者は靴を脱いで上がるようにしたら
もっと臨場感があっていいのに〜と思った。
(智積院収蔵庫の長谷川等伯みたいに)。

でもそんな風にしちゃうと車椅子の方が見づらくなってしまうし、
みんな畳の上に座り込んで動かなくなりそうだから、まぁムリだぁね(^o^;。

障壁画は、狩野尚信および狩野探幽によるもの。
どちらも素晴らしいけれども…、アタシは狩野派よりも等伯の方が好きかも。



ミケランジェロも京都も展示の数が、多過ぎず少な過ぎず適量なのが良かった。
展示が多過ぎると疲れちゃうし、いろいろ観すぎて
結局何を観たのか、記憶に残りにくいんだよね(^^;。


え?恒例のミュージアムショップはどうしたかって?。
幸いミケランジェロ展も特別展・京都も「コレ欲しい!」というような
グッズがなかったのだ。ポストカードですら。

なので、今回のおみやげはこれだけ。
興福寺の精進ふりかけ。
yoshi.jpg
これで、「あお」「丹(に)」「よし」、全部制覇した〜ヽ(^。^)丿。





-------------------------------------------------------------
《オマケ》
さ、明日は「ぐ・ろ・り・あ・す」(笑)。
忘れずフラゲしてこなければ。
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0