夜の美術館でアートクルーズ

横浜美術館が企画している、そんな名前の講座に参加してきた。

これは閉館後の夜の美術館で、学芸員の解説を聞きながら
作品を鑑賞しましょうという企画。

現在、横浜美術館で開催されているのは
ドイツ出身のシュルレアリスムの画家、マックス・エルンストの展覧会。
題して『マックス・エルンスト -フィギュア×スケープ』。
別段エルンストの作品が好きだというわけではないが
シュルレアリスムは結構好きなジャンルだし
なんと言っても、閉館後の美術館に入れるというのがワクワクするではないか。

集合時間は18時30分。

美術館の正面玄関は既に閉鎖されているので
併設のカフェ小倉山に集合。
参加人数はざっと見たところ40名弱ってとこだろうか。

離れたところでも学芸員の解説がよく聞こえるように
無線の受信機みたいなものを渡されて、いざ展示室内へ。

中堅・若手・ベテランの学芸員さんが、いくつかの作品について
それぞれテーマ別に解説をしてくれる。
白熱しすぎて時間が足りなくなったり、
それゆえやたらと早口になったり、
あるいは、せっかく用意してきた解説用のパネルが小さすぎて
なんだかよくわからなかったり（^^;、
そのパネルを下の方に構えて説明するもんだから
後ろの方にいる人には更になんだかさっぱりわからなかったり
段取りの悪さもないではなかったけど
概ね分かりやすい解説で、なかなか面白かった。

特にベテラン学芸員（横浜美術館の主任学芸員）さんの解説はさすがだった。
ゆっくりとした語り口なんだけど、要点は押さえているので
一見小難しそうな話も、スッと頭の中に入ってくる。

見た目も語り口も穏やかそうな主任学芸員さんなのだが、
今回の展覧会で、フランスはパリのポンピドゥーセンターから
3点の作品を借り受けることが出来たことを
嬉しそうに話しているのがとても印象的だった。
その3点の中の一つ（『嘘八百』という作品）はサイズも大きく
輸送にも金がかかったが、それでもとても嬉しかったと話していた。

普段、はるばる海外からやってきた作品を
日本にいながらにして観られることを、確かに「ありがたや〜」と思いながら
鑑賞してはいるけれど、それはこうした学芸員の方々の
並々ならぬ熱意と努力があってこそなのだなぁと、
その部分に改めて感謝と感動を覚えた。

作品の総数に対して、解説してもらった作品数はほんの一握りであったことや、
それゆえ最後はなんだか駆け足気味になってしまったこと、
もう少し、自由に作品を鑑賞する時間が欲しかったこと、
それと参加者の人数がちょっと多すぎる気がした点など
残念に思える部分もあったけど、
一つの作品に関して、これだけじっくりと深く掘り下げた解説を
聞けるチャンスなどそうそうないでので、とても面白かった。

講座の参加費用には、今回の講座のための入館料とは別に
この展覧会の無料鑑賞券が含まれているので
近いうちにこの鑑賞券を使って、
もう一度この『マックス・エルンスト展』を観ておこうと思っている。

この企画、横浜美術館で2008年からやっていたそうで
なんでもっと早くから参加しなかったんだろう！とちょっと後悔。
休館日前の水曜の夜に開催することが多いようなので
今後もチャンスがあったら、積極的に参加したいと思う。

次回の『奈良美智展』でも、夜のアートクルーズがあるといいなぁ…。



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《オマケ》
CX6のソフトフォーカスを使って、撮ってみた。
…ただのピンボケ写真に見えなくもないが…（^o^;。

コメント 2

夜の美術館いいですよね～。
'07にパリに行った時、着いた日がルーブルが22時くらいまで
開館してる日だったので、ホテルに荷物を置いて行きました。

無線の受信機みたいなやつ、ツアーで海外に行くと
よく渡されるのですが、グループがいくつもあると、
チャンネルが重複して、よそのグループの現地ガイドさんの話が
聞こえてきたりもします。
by えの (2012-05-10 10:31) 

＞えのさん
金沢21世紀美術館も、交流ゾーンや市民ギャラリーは22時まで
開いていて、なんだかワクワクしました。
日本でも、遅くまで開いてる美術館が
もっとたくさんあればいいのに、と思いますね。
最近は週末のみ20時まで開館しているところも増えてはいますが
やっぱり22時くらいまでやっててくれないと
仕事帰りにのんびり…というわけにはいきませんよね。
しかしまぁ、働く側にしてみれば「22時までなんて冗談じゃない（-_-#」
って感じかもしれませんが（^o^;。

by 梅屋千年堂 (2012-05-10 15:47)